生産台数はわずか2台のみ!
ルックスではライバルを圧倒していた、というべきかもしれません。全部で2台が製作された記録がありますが、残念ながらアメリカのフォード博物館で出会った1台は、何の変哲もないアルミホイールを履いていました……。 そのデビューもビッグサプライズだったというべきでしょう。その舞台はワトキンスグレン・サーキット。1962年のF1アメリカGPでデモンストレーションランを行ったのですが、これをドライブしたのがF1ドライバーとしても有名なアメリカンヒーローのひとり、ダン・ガーニーだったのです。 ちなみに、彼は同グランプリにもドライバーとして出走し、決勝では5位入賞を果たしていたのですが、まだフォードが開発をバックアップしたコスワースDFVが登場以前の1.5L時代で、レースで彼がドライブしたのがポルシェだったのは皮肉でした。
市販モデルのマスタングが誕生する前年、1963年にはフロントにエンジンを載せた2+2のロードスター/コンバーチブルのマスタングII・コンセプトが登場しています。こちらはまさにマスタングの市販モデルに向けたパイロット版で、マスタングⅠロードスター コンセプトはむしろ、フォードGTへと発展していったパイロットモデルというべきかもしれません。 いずれにしてもマスタングに、スポーティなイメージを植え付け、ベビーブーマーの心を熱くたぎらせたという意味では、マスタングに必要なプロトタイプだったのでしょう。