KdF-Wagenをベースにした4輪駆動システムを組み込んだ軍用車
さてもう一度プロトタイプに戻して話を進めていきましょう。VW30/60でテストを繰り返し、いよいよ量産計画にゴーサインが出され最終試作車のVW38は量産車として名前をKdF-Wagen(歓喜力行団のクルマ)と変えています。 ただ第二次大戦が勃発したことで量産計画もとん挫。KdF-Wagenをベースに、リムジーネのスタイルのまま4輪駆動システムを組み込んだ軍用車(Porsche Typ87)やキューベルワーゲン(同 Typ82)、ジュビームワーゲン(同Typ166)などが開発されていきました。
基本設計が優れていたこともあって、こうした軍用モデルもその目的や使用形態に対して高い性能を発揮したようですが、結果的にポルシェ博士は戦後、ヒトラーに協力した戦犯として身柄を拘束されるなど不遇な時代を過ごすことになりました。 残念な結末というべきですが、それはともかく基本設計に優れていたフォルクスワーゲンType1は、何度も“カイゼン”を重ねながら、半世紀を優に超える長い期間、生産されて販売された、まさに歴史に残る傑作車に昇華していきました。