90年代の日産車に多く搭載された主力エンジン
日産エンジンの1990年代で、忘れてはいけないのがSR型エンジンだ。U12ブルーバードやS13シルビアで定評あるそれまでの1.8LのCA18型に変わり、2LのSR20型がブルーバードに搭載されたのが始まり。パルサーやプリメーラ、アベニールなど幅広いモデルに搭載された、さまざまな排気量が設定された90年代の日産を代表するパワーユニットだ。
バランスのいい86mm×86mmのスクエア型エンジン
1.6Lなどもあったが、ここでは2LのSR20DE型を中心に振り返りたい。ちなみにSRはエンジンの型式で、数字は排気量(20はほぼ2L)、DはDOHC、Eは電子制御式燃料噴射システムを現している。
SR20DE型の特徴は、エンジンヘッドやブロックがアルミ合金製となったことと、CA型がタイミングベルトに対して、SR型はタイミングチェーンを使っていたこと。つまり、軽量化と高い耐久性を求められて開発されたエンジンであり、非常に汎用性が高かった。
ちなみにCA型は、日産がFFとFRのどちらにでも対応できるように開発された小型軽量エンジンであったが、SR型はそれを進化させたエンジンである。
筆者が味わい尽くしたP10プリメーラ&SR20
私が最初にSR20DE型に触れたのは愛車のHNP10型プリメーラだったが、ハイオク仕様で150ps/6400rpm/19.0kg-m/4800rpmを発揮。ブルーバードに搭載されたSR20DE型エンジンがレギュラー仕様で140ps/6400rpm/18.2kg-m)/4800rpm(モデルによって異なる)だから、ハイオク仕様のメリットはあり、バブル期のさなかの高性能ユニットと言ってよいものだった。ちなみにCA18DE型のスペックは135ps/6400rpm、16.2kg-m/5200rpmだ。
先に述べたがCA型は直4としてFF(横置き)の性能も重視して開発されたエンジンで、横置きでもライバルに負けない性能を発揮したが、SR型はそれをさらに進化。ターボエンジンながら1Lあたり100ps以上を発揮させるエンジンへと進化させていることがわかる。
SR20DE型は2L直4では高性能でライバルと比べても扱いやすく、そして燃費もまずまずの実力で、他社の直4の2Lのライバルに対しては負けていない。このころは直6の2Lも多数発売されていたが、ミドルサイズFF車に直6を積むスペースがあるわけもなく直4となるのだが、2Lであれば直4で十分ではないか? と思わせる性能だ。エンジンのサイズや重量、出力、燃費など、幅広い面で2LのSR型は完成度が高く、高バランスエンジンであった。
そしてHNP10プリメーラと10年以上の期間過ごしたが、エンジンに対して不満は一度も抱かなかった(クルマ自体一度のトラブルがなかった)。そしてHNP10と同時期以降、さまざまなエンジン、大排気量モデル、高性能エンジンのモデルと一緒に過ごしたが、実用ファミリーセダンにおいてSR20型に不満を感じたことはなく、イコール、バランスに優れたエンジンだといってよいだろう。
出力アップを続けたSR20進化の歴史
SR20DE型はさまざまな進化を遂げている。まずP10プリメーラのモデル末期に発売されたオーテックバージョンだ。圧縮比アップやバルブタイミングの変更改良、専用コントロールユニットの採用による効果で、180ps/6800rpm、19.6kg-m/5600rpmというスペックを備えた快速セダンだった。
同様にシルビアではS14のSR20DE型が160ps/6400rpm、19.2kg-m/4800rpm、S15が165ps/6400rpm、19.6kg-m/4800rpm(MT)まで進化を遂げており、SR20型の基本性能の高さと進化の度合いがわかる。
ターボはもちろんの可変バルタイ仕様も用意される
汎用性の高さから幅広いモデルに搭載されたSR20DE型は、多様なモデルに搭載される。ブルーバードやシルビア、プリメーラ、アベニール、パルサー、セレナ、ルネッサ、リバティなどだが、バルタイを搭載する2代目プリメーラ(P11)では190ps/7000rpm、20.0kg-m/6000rpm。最後のモデルとなったP12は204ps/7200rpm、21.0kg-m/5200rpm。バルブタイミングシステムであるネオVVLを搭載したSR20VE型で大幅な性能向上を果たした。同じSRの型式で同じハイオク仕様で進化をたどると、P10が150ps、P11が190ps、最後のP12はなんと、204psまでの性能向上を果たしたのだ。