NATSの学生が作ったツイン+ファントム=「ちょろーる」
千葉県にある日本自動車大学校(NATS)カスタマイズ科は、毎年「東京オートサロン」に学生が制作したカスタマイズカーを出展している。今年はコロナ禍でイベントそのものが中止になってしまったが、今回は過去NATSの学生が作ったクルマを紹介したい。
同校の理事長の愛車であるスズキ・ツインをぶった切って、ロールスロイス・ファントムに! その名も「ちょろーる」。カスタマイズ科6班が制作し(当時)、東京オートサロン2015年に出展され話題になった一台をプレイバックする。初出:Kスタイル
NATS史上もっとも注目を浴びた1台かもしれない
撮影前日、班員のひとりが食事をしていた店で、隣に座った知らないお客さんがオートサロンの話を始めたという。『NATSのあのロールスロイス、今日も新聞に載っていたよね』と。
「喋りかけようかと思ったけど、やめといた。でもめっちゃワクワクした(笑)」。とにかく、2015年の東京オートサロンでもっとも話題をさらった一台だ。
ツインをロールスロイスに変える奇想天外さに加え、それをやってのけたのが学生で、ベースカーがその学校の理事長のクルマというのも面白く、同イベント開催中にヤフーニュースが取り上げる。アクセスランキングは1位となり、「翌日は人だかり。ヤフーの影響力、ハンパないです」。
その後は雑誌や新聞、テレビ、ラジオなどの取材ラッシュで「ここまで取りあげられたのは、NATS史上でも一番じゃないかと。自分の人生でも、こんなにチヤホヤされたことは今までなかった(笑)」。
じつは始まりから困難続きだった。まず人も人間が集まると、意見が全くまとまらない。何を作るかすら決まらず、最初の段階からつまずいた。「そしたら先生から、ツインをリムジンにしたら面白いんじゃないの? って話を頂いて。ちょうど理事長がツインに乗っているんで、使わせてもらおうと」
「そしたら製造年月日的にK枠を越えると車検が通らないので、リムジンは諦めてファントムにしたんです」
何しろあの丸いボディのツインを、四角い顔のファントムにするわけで、まずは鉄の丸棒でボディの骨組みを作ることからスタートする。実車を見ることはできないので、ネットで見つけた写真を何度も見て、それと照らし合わせながら製作を進めた。