NATSの学生が作った独創的すぎるカスタマイズカーを紹介
千葉県にある日本自動車大学校(NATS)カスタマイズ科は、毎年「東京オートサロン」に学生が制作したカスタマイズカーを出展している。今年はコロナ禍でイベントそのものが中止になってしまったが、今回は過去NATSの学生が作ったクルマを紹介したい。2015年の東京オートサロンで出展され話題となった、同校カスタマイズ科第7班(当時)が製作した、とっても遊び心に溢れるバモスだ。
初出:Kスタイル
ちびっ子に興味を持ってもらうために選んだモチーフは「動物園バス」
若者のクルマ離れが言われている昨今。せっかくショーに出すなら、子どもが興味を持ってくれるようなクルマにしようと思った。だから、モチーフは動物園バス。サファリパークでもよく見るが、そのほとんどが猛獣系のデザインだ。しかもそれらはすでに先輩が作っている。ならばこれまで誰も作っていない、フラミンゴのバスはどうだろう。ピンクのキレイさは、女性ウケもいいに違いない。
そんな具合にアイデアが広がり、班の『紅鶴』は誕生する。バッドフェイスを超越する、フロントバンパーに大胆にかぶるボンネットは、フラミンゴのくちばしをイメージして。盛り上がったルーフも、いかにも鳥の頭のようである。
鳥を再現するために苦労したガルウイング
そして鳥の羽根といえば、ガルウイング。リヤドアが左右に上がったら、それはまるでフラミンゴが羽根を広げた姿のようになるだろう。これは面白いと飛びついたが、これが予想以上に困難を窮めた。
ただ開けばいいわけではない。クオリティと法令遵守は絶対条件。ドアの開く向きが変われば、ドアノブの向きも変わる。そこを変えようとすると、内装側とつながるリンケージのレイアウトがうまくいかない。トライ&エラーを繰り返し、この調整だけでも約半月。ダンパーも試行錯誤した。完成時の重量も考慮しなくてはいけないし、取り付け位置によって上がる高さも変わってくる。
防水対策も必須。スライドドアのレールは鉄板で埋めてパテで処理する必要があった。まったくひと筋縄ではいかない。パッと見ただけでは気付かないような部分にまで考えをおよばせ、手を加え、ようやくフラミンゴは美しく羽を伸ばすことができたのだ。
フラミンゴの華やかなイメージを再現するため、カラーリングもひと工夫。ホワイトボディに鮮やかなピンクをのせ、その上からカスタムペイントしている。
「最初にクリーム色を塗って、次に黒で塗り分け、その後羽根のカタチになるようにマスキングをしてからシルバー、次にピンクメタリックを塗って、模様を入れて、最後にキャンディクリア。もう何層塗ったか、わからないです。塗装ブースに一週間ぐらいこもりっぱなしで塗り続けました」。マスキングするだけでも大変で、テープ貼りで日を終えた日もある。
「塗装してたら、ガンのなかからマスキングテープが出てきた」なんてエピソードからも、作業中のバタバタが伝わってくる。年末の寒いなか、「気付いたら朝日が昇っていた」時間まで製作に没頭したこともある。苦労の甲斐あって「完成した時の達成感は、ハンパなかったです」と振り返る。
制作のキモは特徴的なボンネット
「普段は見えない部分にまで、こだわって塗装しました」というルーフ。
よく見ると美しい模様が入るピラー。一本の羽根を透かして見た時のような繊細さだ。
ボンネットは鋭く尖らせ、くちばしを作る。グリルもダイナミック。
フラミンゴっぽさを出すため、頭も作る。ダンボールで型を作って発泡ウレタンを流し、のこぎりで削って形作り。それをベースにFRPで作製。
女の子が喜びそうな、可愛らしい色調の室内。シートカバーはクラッツィオを使用。パネル類は外装に合った色を調合で作ってペイント。
「太いホイールをヤフオクで探して」見つけたセイケンNKBCUP。15インチの8J・9Jを履く。
「やっぱり出てた方が格好いいから」0.8mmの鉄板を使ってオーバーフェンダー化。出し幅はフロント6cm、リヤ9cmだ。
Specifications
EXTERIOR
●Fバンパー:ワンオフ
●サイドステップ:ワンオフ
●Rバンパー:ワンオフ
●グリル:ワンオフ
●ライト類:ミニキャブ純正テールレンズ移植
●ペイント:オリジナルペイント
●その他:スライドドアガウルイング化、フラミンゴ風ルーフ、リヤゲートスムージング
FOOTWORK
●ホイール:NKB CUP
F8J×15in inset35 R9J×15in inset30
●タイヤ:
(F)ナンカン 185/45-15in(R)ミネルバ 195/45-15in
●フェンダー:オーバーフェンダー F6cm R9cm
INTERIOR
●ステアリング:メーカー不明
●パネル:塗装
●シート:クラッツィオシートカバー
●ドア内張り:塗装
●その他:カーペット張り替え