チェーン式の「リニアトロニックCVT」の礎になったECVT
RX-RのほかにもSOHCスーパーチャージャー仕様のGX系もあり、こちらには2ペダルの無段変速機「ECVT」が組み合わされていた。このECVTは、当時のサンバーをはじめ、リッターカーのジャスティにも設定されていた。
また、日産マーチなどにもOEM供給されるほどの最先端トランスミッションとして注目を集めた。スチールベルト式でいわゆる「ゴムバンドフィール」とよばれる独特のフィーリングや2ペダルながらクリープ現象の発生しない電磁クラッチなど、慣れやコツが必要ではあったが、現行スバル車のほとんどに搭載されるチェーン式「リニアトロニックCVT」の礎になったといえる技術だ。
大人4人が余裕で乗れる室内空間
また、スバル360のDNAを受け継いでいると感じさせるのが、全長 3295mm、全幅1395mm、全高1385mという、見るからに小さいボディでありながら、大人4人が余裕で乗れる室内空間だろう。これには驚かされる。
筆者も当時よく乗る機会があったのだが、身長178cmの自分がこのクルマに収まっていたのか? と思ってしまうほどだ。実際に運転席に収まると、まぎれもなく軽自動車ではあるが、タイトさは感じることはなく、むしろ軽量なボディにキビキビ回るエンジン、面白いほどよく曲がる足まわりに舌を巻いた。
幅広くグレード展開がされてたのも特徴
ヴィヴィオはRX-Rのようなスポーツモデルから、軽貨物仕様のバンモデルまで幅広くグレード展開がされていたが、特徴的な部分としてさまざまな特別仕様車の設定が挙げられる。
代表的なモデルは、レトロ調のエクステリアを纏い、他メーカーにもおよぶレトロ調ブームの火付け役ともいえる「ヴィヴィオ ビストロ」。さらに、歴代スバル車で唯一のオープントップモデル「ヴィヴィオ T-TOP」など、コンパクトなボディに愛らしいエクステリアを組み合わせたモデルが多数存在した。 こうしてさまざまな限定モデルや人気モデルを販売してきたヴィヴィオだが、6年というモデルライフののち、軽自動車の規格変更に伴い後継のプレオへバトンタッチし幕を閉じた。しかし、RX-Rやビストロといったモデルはいまなお中古市場でも人気が高く、とくにRX-Rは手軽にスポーツ走行を楽しみたい! というユーザーから絶大な支持を得ている。