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「ハンドルを持つ位置は10時10分」は間違い! 本当に運転が上手くなる「ドライビングポジション」とは

運転が上手くなるにはまずは正しいドラィビングポジション 

 サーキットでは誰もが気にするドライビングポジション。速さや操作の正確さに繋がることは知ってのとおりだが、街乗りでも疲労軽減や安全性の向上など恩恵は多い。シートの位置やステアリングの持ち方など、正しい『ドラポジ』のセオリーを改めて学んでみよう。

クルマとの一体感を得るためのシート位置

 正しいドライビングポジションが必要不可欠なのは、サーキットなどスポーツ走行に限った話ではない。最近ではあまり見かけることは減ったが、シートを思い切り後ろに下げて背もたれも倒し、片手を伸ばしてハンドルを操作するようでは、危険を余地することも回避することも困難だ。 あらゆるステージでの正確さ/安全性/快適性を高めつつ、クルマとの一体感を得るにはどうすればいいのだろう。

まずは『深く』座りシート位置調整へ

 真っ先に確認して欲しいのは腰を下ろす位置で、シートとお尻の間が空いていれば修正の必要アリ。そこに隙間があればコーナリングは言わずもがな、加速や減速でも身体が動いて踏ん張りが効かず、正確な操作はできないし疲れやすくもなる。つまりシートには『深く』座るのが正解で、高さや前後の位置を調整するのはそれからだ。

 続いて左足をフットレストに置いたまま、右足はアクセルとブレーキを奥まで踏み込んだ状態で、膝が伸び切らず少し余裕ができるように、シートのスライドレバーを前後に動かして調整する。マニュアル車なら左足でクラッチペダルを奥まで確実に踏み切れるかも確認。ココで重要なのは各ペダルとの距離感で、繊細なアクセルワークやとっさの急ブレーキ、左足で身体を支えられるかに大きく影響する。

シートバックの角度と座面の調整

 続いては角度。背中をシートバックに密着させてステアリングがもっとも遠い場所、つまり最上部まで両手を伸ばしてみてほしい。それで肘が伸び切ってしまうなら遠すぎだし、手が届かないなんてのは論外もいいところ。最初に決めた前後の位置は変えず、リクライニング機能でシートバックを起こす。ステアリングとの距離が近すぎるのも操作のジャマになるが、寝かせすぎはとっさのときシートバックから背中が離れたり、ステアリングにしがみ付くような姿勢になるので要注意。またシートバックの倒しすぎは正確な操作を阻害するばかりか、顎が浮く姿勢になって前方の視界を確保しにくいデメリットもある。

 もし座面の高さを調整できる車種であれば、太ももが座面から離れすぎたり密着しすぎないように。この距離を適正に保つだけでペダル操作は正確になるし、長時間のドライブで疲労が溜まるのを防ぐこともできるのだ。同じくヘッドレストの位置が調整できるなら、耳とヘッドレストの中央が一緒になるように合わせ、前後は後頭部に軽く触れるくらいのポジションに。座面からヘッドレストまで一体のバケットシートよりも、分割されている純正シートの方が調整はしやすいし、正しいポジションならサーキット走行も十分にこなせるはずだ。

ステアリングを握る位置

 次はステアリングの持ち方について考えたい。昔は両手で握る場所は『10時10分』と言われていたけど、近年では『9時15分』と教えられることも多い。かつて『10時10分』とされていた時代はパワーステアリング付きのクルマが少数で、ステアリングを回すときに力を入れやすいのがこの角度だった。 しかし現在はごく一部の例外を除きパワーステアリングが標準装備。操作に以前ほどの力は必要なくなったし、9時15分は腕の位置が低く疲れにくいうえ、手を持ち替えずに回せる量も多いため、危険回避の対応がしやすいといわれ推奨されている。そして持ち方は指の付け根あたりをスポークに当て、ステアリングを軽く前へ押しながら回すイメージだ。なお親指はスポークを強く握り込むのではなく、スポークに沿って軽く添えるほうが余計な力が入らず、スムースかつ正確な操作ができるし、路面からのインフォメーションも感じやすい。

足の位置はそれぞれ所定の場へ

 最後にマニュアル車で見かける悪い例を。素早く操作したい気持ちの現れなのか、クラッチペダルに足を乗せっぱなしだったり、シフトレバーをいつも握っている人がいる。本来なら左足はフットレストに置いて身体を支えるのが役目だし、片手でステアリングを操作する危うさは説明するまでもない。

 ほかにもクラッチペダルにつねに足が触れているとクラッチ板は消耗するし、振動と摩擦で靴底(ソールの薄いレーシングシューズはとくに)がすり減ってしまう。同様にシフトノブも握りしめていると振動の逃げがなくなり、駆動系に負担がかかるなど数々のデメリットがある。

 正しいドライビングポジションとはシートとステアリングだけではなく、ドライバーの姿勢を含めて考えるものなのだ。

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