ウエットコンディションが演出した接近戦
日曜日に行われた決勝レースは、生憎のウエットコンディション。気温も上昇せず肌寒いほどでしたが、このコンディションではレースがタフなものとなるのは仕方ないところ。当初は8周のレースが予定されていましたが、セーフティカーに先導されて2周したあとで、周回数も6周と減算されてレースがスタートしました。
セカンドローから好ダッシュを見せた福山英朗さんと中谷明彦さんが、2番手スタートの見崎さんをパス。ポールからスタートした片山さんを両側から挟み込むようにして、TGRコーナー(1コーナー)には3ワイドで突っ込んでいきました。 結果的に、一番インサイドにいた福山さんがトップに立ちますが、1周回ってくる間に片山さんが逆転。次の周の1コーナーには片山さん、福山さん、中谷さんの順でアプローチしていきました。これ以降は、片山さんがそのままトップをキープし安定したペースで周回を重ねていきます。
その後方で2位を争っていた福山さんと中谷さんは、滑りやすい路面に足をとられながらも接近戦を展開していました。福山さんによると「コース後半では少しタイヤも温まるけれど、長いストレートでまた冷えてしまうから、1コーナーではタイヤがまったくグリップしなかった。タイヤライフも考えてこんな設定になっているのだろうけれど、今日のようなコンディションだと、ジェントルマン(ドライバー)の人にはちょっと厳しいよね」とのことでした。 結局、一度もそのポジションを譲ることなく、見事なポールtoウィンを飾った片山さんも、レース後には「勝つことはできましたが、タイヤを温められず、グリップしなかったのでとても怖かった」とコメントしていました。
そんなトップ3の後方から、彼らに離されまいと懸命な追走を続けていった見崎さんは「タイヤがグリップせず怖かったし、表彰台にも上れず悔しかったけれど、また次回も出たい。今度こそ優勝したいですね」と意気盛んでした。
老いては子に従え!?
前回も出場していた柳田春人さんは、“Zの柳田”や“雨の柳田”として知られています。
また今回が初出場となった佐々木秀六さんは“マムシの秀六”と呼ばれ、悪コンディションでも決してあきらめないレース運びで有名でした。
しかし、最近のレースファンの間では、SUPER GTで活躍している柳田真孝選手や佐々木孝太選手の父親としてイメージされているようです。息子のデビューレースではハラハラドキドキと気を揉んでいたおふたりですが、今回は息子がハラハラドキドキ気を揉むようになって立場が逆転。 秀六さんは「孝太にコースガイドをしてもらいました。(トップから)1~2秒の差だと、ここをこうすればタイムアップする、というようなアドバイスももらえるのでしょうけれど、10秒も違っているから『気を付けて頑張って!』としか言いようがなかったみたい」と苦笑い。スタート前には孝太選手がミラーの調整をしたり、タコメーターにシフト時の目安をテープで貼ったり、と細やかなサポートぶりでした。
一方、この日はインタープロト&KYOJO Cupの主催者としても大忙しだった関谷正徳さんは、スタート前にはお孫さんが応援に駆け付けるなどファミリームードも満点。お孫さんにパワーをもらったか、5番手グリッドからのスタートでしたが、キッチリとポジションをキープしてチェッカーを受けていました。 絶対的な速さはともかく、70歳代や80歳代になってもクルマを速く走らせようという意気込みやその姿勢は、若いドライバーならずとも、是非とも見倣いたいものです。