10番手スタートから着実にポジションを上げて
アメリカでもっとも人気のあるカーレースであるストックカーシリーズの「NASCAR(ナスカー)」には、「カップ」、「Xfinity(エクスフィニティ)」、「Camping World Truck(トラック)」という3大カテゴリーがある。そのうちのひとつ、トラックシリーズに長年挑戦を続けている「HATTORI RACING ENTERPRISES (HRE)」は、ナスカー界で唯一の日本人オーナー服部茂章率いるチームだ。今季もトラックシリーズに参戦している。
前戦でドライバータイトルのプレイオフ進出が叶わなかったHREとオースティン・ヒル選手だが、残るチームタイトル獲得を目指し、第19戦が開催されるネバダ州・ラスベガス市街地にあるラスベガス・モーター・スピードウェイへ。1周1.5マイル(2.41km)のオーバルコースであり、アウト側に寄るほどバンク角が高くなっているプログレッシブバンクを採用した、高速インターミディエイトオーバルだ。
5列目アウト側からスタートしたヒル選手の16号車は、オープニングラップで8番手に順位を上げるも、その後は7番手争いの一進一退の混戦のなか9番手で第1ステージのチェッカーを受けた。
第2ステージ残り4周のリスタートで、ヒル選手は18番手からスタートダッシュを決めて一気に10番手にジャンプアップ。60周目には7番手にまで順位を上げてチェッカーを受けた。ステージポイントも獲得し、このステージブレイクではコースに留まり、3番手から最終ステージを迎えるという絶好の展開となる。
タイヤ不調で交換後に挽回しトップ争いへ再浮上するも
67周目に最終ステージのグリーンフラッグが振られると、16号車は2番手にポジションアップし、トップの背後に迫る。70周目のターン3でイン側からついにトップに躍り出るが、翌周に大クラッシュが発生しイエローコーションが出される。HREチームはこのタイミングでピットインを指示。給油と4本のタイヤ交換を行い、ヒル選手を素早くコースに戻し9番手からリスタートを迎える。このイエロー明けでもスタートダッシュを決め、ヒル選手は一気に3番手にアップする。さらに2番手にポジションを上げてトップ争いに加わるも、周回を重ねるにつれてフロントタイヤからバイブレーションが発生。スピードが伸びず、徐々に7番手まで後退してしまう。
チームはこの日8回目のコーションを利用して、バイブレーションが出ているタイヤ交換を行い16号車はコースへ復帰。9番手からリスタートするとマシンは息を吹き返し、4番手に順位を上げてトップを追う展開となるが、125周目この日最後となるコーションが出されレースは残り3周での勝負となる。
最後のリスタートを2列目アウト側からスタートしたヒル選手は素晴らしいスタートを決め、バックストレートでトップ2台のマシンの間に分け入り3ワイドから前に出ようと試みる。だが、後続のマシンが付いてこなかったことで、単独走行となってしまった16号車の加速は鈍ってしまう。これにより、一気に後続集団に飲み込まれてしまい、最終的には10位でのチェッカーとなった。