EVのほうが構成部品も少なくパワフルさも味わえる
スポーツカーとGTカーが混同されている。GTカーは、グランド・ツーリングカーを意味し、旅の友だ。その高性能車が、たとえばポルシェのようなクルマになる。代表的な911が4座席であるのはそのためだ。日本では日産GT-Rも、スポーツカーではなくGTカーだ。GTカーであれば、長い旅をするなかでHVによる燃費の節約や、環境へのより高い水準での対応も求められるだろう。ポルシェがタイカンで示したのは、速さはもちろん、長距離移動を視野にした電気自動車(EV)化だ。
そのうえで、スポーツカーも環境対応が重要課題となるなら、電気自動車(EV)にしたほうが構成要素はHVより簡素だ。駆動用のリチウムイオンバッテリーによって車両重量は増加するが、ありあまるモーター出力が瞬発力を損なうことなく、また床下のバッテリーは低重心を成り立たせる。前後重量配分も整えやすい。
クルマの将来性としても向うのはEVであり、HVやPHEVは過渡的な存在としていずれ淘汰されるのではないか。
モータースポーツでは、HVの活用がある。しかしそれは競技のための車両規則で定められるからであり、車両規定は時代とともに変わっていくものだ。HVがスポーツカーに適さないとはいわないが、純粋に運転の楽しさのみを追求する車種であるなら、別の動力の考え方があっていいと思う。