S14シルビア
当時の走り屋御用達モデルであったシルビア。R33とほぼ同じ時期に登場したS14も、チューニングベースとして親しまれました。
1994年に登場した、S14シルビアベースのニスモコンプリートマシン270Rは、ニスモ創立10周年を記念して30台限定で登場。その名が表す通り270ps(ノーマルは220ps)を発生するチューニングマシンです。
先に紹介した400Rと比べるとインパクトに欠けるかもしれませんが、エンジンのパワーアップだけでなく、冷却系や駆動系の強化、サスペンションの改良まであらゆる部分の性能を向上。非常にバランスの取れた、シルビアチューンのひとつのお手本と言えるような内容でした。
オーテックが手掛けたS14シルビアであるオーテックバージョンK’s MF-Tは、後期型をベースにチューニングされました。
270Rと同様にトータルチューニングが施され、250psにパワーアップされていましたが、特質すべきはそのエクステリアデザイン。空力や冷却を考えたエアロパーツが装着されているのですが、目を引く大型リヤウイングは時代を感じさせます。
K12マーチ
日産のスポーツモデルと言えばスカイラインやシルビアに目が行きがちですが、モータースポーツにおいてアマチュアレーサーを支えたモデルとして、マーチを忘れてはいけません。3代目となるK12マーチには、ニスモもオーテックもホットなモデルを用意していました。
ニスモが手掛けたS-tune COMPLETEは、当時行われていたワンメイクレース「マーチカップ」の参戦車両をイメージして開発。カップカーとおそろいのデカールなどがオプションで用意されていました。
ノーマルではキュートなイメージのマーチ、このコンプリートモデルは20mmローダウンと控えめなエアロパーツ、スポーツホイールが装着されている程度ですが、わずかなエクステリアチューンで一気にカッコよくなっているのが好印象です。
エアロパーツやサスペンションのほかにも、エキゾーストシステムやコンピュータのリセッティングなどが施され、ハイオクガソリン仕様となっているのがヤル気を感じさせるモデルです。
オーテックが手掛けたマーチである12SRも、エンジンやサスペンションなど総合的なファインチューニングがバランスよく施されているのが特徴です。
こちらもハイオク仕様となっていて、S-tune COMPLETEの90psよりもハイパワーな108psという最高出力を誇ります。
そのほかスポーティに仕立てられた内装や、専用のエアロパーツが用意されていて、S-tune COMPLETEよりもチューニングカーらしい見た目とヤル気にさせる内外装が特徴です。
ストイックにドライビングを鍛えるならS-tune COMPLETE、所有欲も満たすならば12SRといった棲み分けでしょうか。スポーツモデルのみならず、エントリーのコンパクトハッチバックでも魅力的なチューニングモデルを選択肢のなかから選ぶことができたのは、ニスモとオーテックの両方がある日産ならではと言えるポイントです。