ひと昔前までは当たり前のようにやっていた!
クルマが進化する目的のひとつが、イージードライブだろう。誰でも簡単に運転できるようにするため、さまざまな努力が重ねられ、新しい装備や機能が登場。その結果、われわれは苦労することなく、エンジンをかけ、運転をすることが可能になった。逆を言えば、それまでは儀式的なコツが必要だったりして、始動することすら難しかった時代もあった。今回は旧車ならではの運転にまつわる儀式を紹介しよう。
チョークを引く
チョークとは運転席に付いているノブで、冬場はこれを引いて始動した。なぜなら寒くて、かからないから。引くと燃料が濃くなって始動することができ、しばらく暖機して水温が上がると、元に戻して走り出すのが当たり前だった。逆に戻さないで走ると、燃料が濃いために吹けが悪くなったりした。現在ではコンピュータ制御のインジェクションになって、この行為は必要なくなった。
アクセルをあおる
チョークを引くまでもないときに行ったのが、キーをひねる前にアクセルを軽くあおってやること。キャブレターはアナログなので、キーをオンにしなくてもアクセルをあおるとガソリンは出たので、かかりが悪いときに使った。またキーをひねってスターターを回しながら軽くアクセルを踏んで合わせてやることもした。いずれも、コツ的な儀式だ。下手な人だと、かけることすら困難だった。
エンジンの暖機運転
最新のクルマも暖機が必要か論争はあるが、裏を返せばそれは旧車では必要だったからとも言える。環境うんぬん以前に、古いクルマの場合は暖まらないと、かなりギクシャクしてしまい走ることすらはばかれるほど。つまり議論以前に必須の儀式だったわけだ。
坂道に止めるときはRに入れてハンドルに左に
MT車全盛の時代は坂道の駐車にも非常に気を使ったものだ。サイドブレーキを引いて、1速またRに入れるのは当然。さらに念を入れてハンドルは左に切っておいた。万が一、動き出しても左に切っておけば路肩に当たって、転がり落ちることは防げるからだ。とはいえ、サイドブレーキをかけただけでクルマを離れて、坂で動き出して焦ったということは実際にあった。