Sタイヤとの違いは? スポーツ走行で人気のハイグリップタイヤとは
ハイグリップタイヤとはスポーツ走行に向けて作られた、摩擦力すなわちグリップ力に優れたラジアルタイヤのこと。とくにドライ路面では強烈なグリップ力を発揮し、コーナリング速度が上がることはもちろん、立ち上がりでは路面にパワーを確実に伝達。強いブレーキングでもロックしにくいなど、走りにおいては数多くのメリットが存在する。サーキット専用といわれる「Sタイヤ」や、最近のトレンドである「エコタイヤ」とは、いったい何がどう違っているのだろうか。
そもそもタイヤの種類を大別すると
まずはタイヤを大まかにカテゴライズしてみよう。もっともスポーツ走行から離れた位置にいるのは、燃費や減りにくさなど経済性を重視したエコタイヤだ。
次いでオールマイティな性能がウリの一般的なラジアルタイヤ。車重や仕様にもよるがスポーツ走行も十分に可能で、最近ではハイグリップラジアルに対し、セカンドグレードラジアルと呼ばれる場合もある。
もっと上に位置するのが今回の主役である「ハイグリップタイヤ」で、サーキット走行をはじめ公認レースでも使用されるほどグリップ力が高い。
コレより上に車検こそクリアできるもののサーキット用と考えていいSタイヤ、ドライ路面に特化した溝がないレース専用のスリックタイヤもあるが、大多数のドライバーにはあまり縁がない存在かもしれない。
ハイグリップタイヤのメリットとは?
ではハイグリップタイヤのメリットを、もう少し詳しく紹介していきたい。まずは名前からわかるとおりのグリップ力だ。サーキットのドライ路面で本領を発揮するのは当然として、走行中に天候が急変しても危険な目に遭わないよう、ウエット路面でも極端にグリップが落ちないよう設計されている。
Sタイヤはハード/ミディアム/ソフトなど複数のコンパウンドが用意され、路面コンディションや温度によって使い分ける必要があるのに対し、ハイグリップタイヤは空気圧の調整くらいで対応が可能。つまりサーキットから一般道まで履きっぱなしで、ドライでもウエットでも使えるのが最大の魅力といっていい。
もうひとつは強い荷重に対する耐久性。ボディの軽い軽自動車やコンパクトカーは別として、エコタイヤでサーキットを全開アタックすれば、わずか数周でトレッドがボロボロになる可能性がある。
一方ハイグリップタイヤはひとつひとつのブロックが大きく、コンパウンドやケースも大きな負荷を想定した設計で、路面温度が異様に高かったり空気圧を間違えなければカンタンには音を上げない。
「燃費」「ロードノイズ」「耐摩耗性」がネック
ココまでいいことばかり挙げたが、逆にデメリットはないのだろうか。一般的なラジアルタイヤやエコタイヤより弱いのは、燃費とロードノイズと耐摩耗性と価格の4つ。とはいえ燃費は摩擦抵抗を大きくしたこと、ロードノイズは設地面積を増やしたこと、耐摩耗性は柔らかいコンパウンドを使ったこと、いずれも最大の武器であるグリップ力とのトレードオフだ。価格にしてもハイグリップタイヤが割高だからといって、エコタイヤでサーキットを走れば上で書いたようなトラブルが起き、街乗りに使うのも危険で買い替えなんて事態になりかねない。
またSタイヤに対しては絶対的なグリップ力では引けを取る。ただし路面コンディションに対しての合わせやすさ、ドライとウェットにおける性能のバランス、耐摩耗性は圧倒的にハイグリップタイヤが上だ。