「トヨタ3000GT」のキャッチコピーでA70型がデビュー!
あらためてA70スープラの生い立ちを振り返ると、セリカXXのイメージと同様にスポーツカーというよりは、スペシャリティカーやデートカーの上級版といった方が適切と思われる。
1986年、日本名でもスープラに統一されたA70型は、わかりやすいキャッチコピーに切り替える。それは「トヨタ3000GT」で、当時最強のデートカーであったソアラと同様の基本性能としたグランドツーリングカーとしてデビューした。 特徴は低い位置に備わるリトラクタブルヘッドライトとA60型の途中から採用されたドアミラーの効果も手伝い、直線基調ながら適度に丸味を持たせたスタイリングは、セリカとは一線を画すスタイリングを実現した。さらにインテリアも一段と進化し、6連メーターやデジタルメーター、パワーシートなどといったGTマシンらしい長距離走行を得意とする装備が奢られた。
全車直6エンジンを採用! ラスボスとして「2.5GTツインターボ」を追加
エンジンはすべてのモデルに直6を採用。ラインアップは2L自然吸気SOHCの1G-EU型(最高出力105ps/最大トルク16.0kg-m、※M/C後に同135ps/同18.0kg-mに改良)、2L自然吸気DOHCの1G-GEU型(同140ps/同16.5kg-m、※1988年のM/C後に同150ps/同18.6kg-mへと改良)、2Lツインターボの1G-GTEU型(同185ps/同24.5kg-m、※1988年のM/Cで同210ps/同28.0kg-mに改良)、3Lターボの7M-GTEU型(同230ps/同33.0kg-m、1988年のM/Cで同240ps/同35.0kg-mに改良)を設定した。 サスペンションは前後に4輪ダブルウィッシュボーン式を採用し、進化したボディもあってGTカーらしい上質な走りを獲得していた。
また、1990年の改良ではサスペンションなどに改良が図られ、それまで最上級であった3Lワイドボディの「3.0GTリミテッド」が廃止され、2.5Lツインターボの「1JZ-GTE型」を搭載した「2.5GTツインターボ」を新たに設定。最高出力280ps/6200rpm、最大トルク37.0kg-m/4800rpmのスペックを誇り、馬力自主規制値いっぱいのハイパワー化を達成させた。 またこのエンジン自体は、すでにマークⅡなどでお馴染みだったが、トランスミッションにMTが組み合わされたのは初めてだった。ビルシュタイン製専用ダンパ―や大径タイヤの装着もあって、「2.5GTツインターボ」はスポーツ性を一段と高めた。
ちなみに北米では3Lターボの「3.0GT」が引き続き発売されたことから「2.5GTツインターボ」の販売は日本国内専用モデルとなった。
後継モデルのA80スープラはピュアスポーツカーへと進化
A70スープラは、Z31型フェアレディZとのライバル関係もあってGTマシンとして進化したと記したが、「2.5GTツインターボ」はトヨタにおけるスポーツカーのフラッグシップというイメージが強く、アッという間にトヨタのスポーツカーを代表する存在となった。そのコンセプトはA80スープラにも継承され、車両開発の一端を担う評価ドライバーの育成にも長い間使われたほど、ハンドリングマシンとしてピュアスポーツカーとして高い完成度を誇っていた。
■スープラ2.5GTツインターボ
〇全長×全幅×全高:4625mm×1745mm×1300mm
〇ホイールベース:2595mm
〇エンジン:1JZ-GTE型水冷直列6気筒DOHCツインターボ
〇最高出力:280ps/6200rpm
〇トランスミッション:5速MT
〇最大トルク:37.0kg-m/4800rpm
〇サスペンション:前後ダブルシュッシュボーン
〇ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
〇タイヤサイズ:225/50R16
〇当時車両本体価格:264万3000円(標準ボディ)