ファストバックスタイルが美しいカローラ・スプリンター
一方でカローラにクーペが登場したのは、初代セダンの登場(1966年11月)から1年半あとの1968年5月。このときに登場した“カローラ・スプリンター”が初代のクーペモデルで、“スプリンター”はもともとは、カローラの1シリーズ(クーペ)の名称に使われたものだった。
初代のカローラ・スプリンターは、もともとセミファストバックスタイルだったセダンのリヤセクションを一層スタイリッシュに仕上げたクーペだった。リヤクオーターウインドウの後ろには、車内の空気を排出するダクト(フレッシュフロー)を設置。トランクリッドの上面にSprinterのオーナメントが装着されていた。
全高がセダンの1380mmに対し1345mmとグッと低いのも特徴。ボディカラーは全5色の設定で、セダンよりも明るいヘリオス・レッドをはじめ、すべて専用色としている。
搭載エンジンは1077cc(1100)のK型で、シリーズの高性能版だったスプリンターSLには73ps/9.0kg−mの2バレルツインキャブ仕様(K−B型)を搭載。160km/hの最高速を誇った。
カローラとスプリンターは兄弟車として別のモデルになった
カローラが1970年5月、初代登場から3年半で2代目へとフルモデルチェンジ。このときからカローラとスプリンターは兄弟車として別個のモデルとなり、クーペもそれぞれ別の顔つきで展開が始まった。
そして何といってもこの2代目カローラ/スプリンターのクーペ(TE27型)のトピックといえば、最初のカローラ・レビン/スプリンター・トレノの登場だろう。登場は1972年3月のことで、セリカ&カリーナに搭載の1.6LのDOHC(ソレックス・ツインキャブ、ハイオク仕様の2T-G型)を心臓に、最高速度190km/h、0−400m加速16.3秒を叩き出し、簡素な内装、オーバーフェンダーなども特徴だった。1973年6月のカローラ/スプリンターのマイナーチェンジ時には、OHVの2T-B型搭載のレビンJ/トレノJを登場させている。
サニー・クーペとカローラ・スプリンター(クーペ)。どちらもスペシャルティカーという訳ではなく、ポピュラーカー(日本語に訳すと大衆車)がベースだったが、それだけに身近で、それなのに格段にカッコよく、ユーザーに夢を見させてくれた……そんな存在だった。