思う存分楽しめるよう参加者に合わせてバイクをアレンジ
SSPでは、下半身不随の障がい者でも乗車が可能となる補助システムを搭載したバイクを製作した。制御の利かない下半身は、両腿を制御するシートベルト、そしてライディングブーツとバイクのステップをビンディングで接合。そして、停車時・走行開始時に自立しないバイクを数多くのボランティアスタッフが支えることで、ライディングを可能にしている。
今回もシフトべダルにアクチュエーターを取り付け、シフト操作を手元で行える仕様となった車両4台を持ち込んだ。サイドアシスト車(アウトリガー補助輪付きの小型車両)2台と、MVアグスタ・ストラダーレ800、BMW F750GSとなる。サイドアシスト車は3タイプ(接地タイプの補助輪付き、補助輪が10cmほど浮いた仕様、補助輪が20cmほど浮いた仕様の3種類)のサイドアシストを、プログラムによって付け替える。
また、下半身不随でかつ左手の握力がない奈佐さんに対応するため、クラッチ操作を右ハンドルで行うシステムを追加。ハンドルの前方にブレーキレバー、手前側にクラッチレバーというレイアウトでのバイクとなった(ただ、これについては要改善ポイントもあり、SSPとしてはさらなる改良を加えていく予定)。左手はハンドルを握るサポートとして、ウエイトリフティング選手が使用する、シャフトと手首を固定するサポーターを用意して体験走行を行った。
久しぶりのバイク試乗後は誰もが笑顔に!
この日は、好天に恵まれ、10月だというのに、まだまだ陽射しがきついなかでの開催となった。今回も総勢40名近い多くのボランティアスタッフが早朝から会場に集まり、サポートの確認作業をするなど、順調に準備を進めていく。前々回から導入されたライダーとサポートスタッフとの通信用インカム「B-com」は、今回から外部スピーカーを通して会場全体にその内容が流されることとなり、パラモトライダーの歓喜の声が会場に何度も響き渡ることとなった。
大阪から初参加となった奈佐さんは、事故の前まで着ていた当時の自身のツナギを持ち込み、35年ぶりにその姿を披露。革ツナギを着ただけですでに満面の笑みとなっていたが、汗をかきながらも「短い時間だったけれどバイクに乗れて、感無量です。歩けるようになるのに近いくらいの感動です。自分ももっとこの活動を広めたいとまじめに思いました。バイク最高!」とコメントしてくれた。
サイドスタンドプロジェクト(SSP)の「パラモトライダー体験走行会」は、次回ついに本州を飛び出し、九州での開催となる予定。会場は11月14日(日)、 熊本県にあるHSRサーキットだ。