国産EVのパイオニアとして進化と熟成を重ねる
日産自動車のリーフには、初代からNISMO仕様がある。2代目となった現行では、NISMOのほかにオーテック仕様もある。
基本的に、NISMOやオーテックも、電気制御など電気駆動部分に標準車との違いはない。だが、外観がよりスポーティであったり、上質であったりし、内装も外装に合わせて雰囲気を盛り立てている。
いまだにEVはどれも一緒で楽しくないと思われがち
EVにNISMOやオーテックという仕様を設定することは、EVがより浸透し、エンジン車の時代と同じように消費者の志向に合った選択肢が求められるようになった証といえる。実際NISMOとオーテックは乗り心地は同じで、運転操作に対する応答がより的確になり、運転の醍醐味をいっそう味わうことができる。
EVというと、一般的にどれもモーターという画一的な動力を使うので乗り味は同じになり、運転がつまらなくなるのではないかといった思い込みで話す人が多い。エンジンのように、DOHCだとかターボだとかといった、見た目の違いがないからだ。
しかし、電気はコンピュータでいかようにも制御を変えることができる。電流や電圧を変えることで、出力やトルク特性をプログラムで変更できるのだ。見た目は同じモーターでも、制御の違いで出力を2倍にすることも簡単だ。
つまり何が肝心かといえば、設計者や開発者がそのEVをどのような位置づけの、どのような乗り味のクルマにしたいかという狙いが明確でなければならない。電気はデジタル制御で、設計数値の通りモーターを動かすことができる。だから目標値が明確でなければ、逆によいEVはつくれないのである。
あわせて、出力と回生の調和をどうするかが、エンジン車にはない新しい要素だ。これを使うことで、アクセルペダルのみによるワンペダルでの加減速をすることができ、加速だけでなく減速の様子も制御で変更できる。なおかつそれをモード設定の選択肢にして、加減速に強弱を選べるようにすることもできる。
つまり、EVはエンジン車以上に多彩な走りを演出できるのであり、また同じEVでも、モード設定によって持ち味の異なる運転感覚を味わうことができるのである。当然、それに応じたシャーシ性能も必要になるだろう。