450psエンジンに空力を重視したエアロを採用
エンジンは2.7Lにボアアップされ、タービンは最終的にTA45Sのシングル仕様に落ち着いた。最終的にというのは、開発初期段階ではシーケンシャルツインターボも視野に入れていたのだ。また、ミッションはホリンジャーの6速MT。最高出力450ps/最大トルク50㎏-mだ。
動力性能だけでなく、ZERO-Rはその見た目のインパクトも強い。見せかけではなく、高速周回路でテストを繰り返し、空力性能を重視した。当時の価格は1600万円。何もかもがブッ飛んでいた。真っ先に飛びついたのは日本ではなく海外、ブルネイのユーザーだったという。その1台は今でも彼の地で走っているそうだ。
ではほかのZERO-Rたちはどうなっているのか。広告宣伝用に作られた1台はまだHKS本社に保管されているようだ。開発車両は『HKSテクニカルファクトリー』のオープン当初、ショールームに飾られており、熱心なファンから熱望され大阪に旅立った。
R32ベースにも関わらず2005年式や2007年式のZERO-Rが存在
そのHKSテクニカルファクトリーが2005年、ZERO-Rを1台復刻版として製作。板金からエンジンまで、当時の最新技術を持って作り上げたのだ。エンジンは2.8LでGT2530タービン仕様。この1台も大阪へ。しかしなんと現在は事故で廃車になったそうだ。そこで違うボディによって新規製作。ちなみにこれらはR32にも関わらず「2005年式」ということになる。
2007年に同じくHKSテクニカルファクトリーが2台製作した「ZERO-Rエディション3」は心臓部であるパワー系チューニングがライトな仕様。基本的にエンジンはノーマルでGT-SSタービンを装着している。1台は大阪、もう1台は神奈川からオーストラリアへ。
2015年に製作された2.8Lエンジン+GT2530タービン仕様は広島に存在。現存するZERO-Rは国内5台、海外2台だ。このあとHKSがさらなる復刻を企画しない限り、ZERO-Rは世界でたった7台しかないのである。