人気の秘密はちょうどいいパッケージ
今日でも多くのスポーツ走行ユーザーから愛されているS15ですが、これほどまでに人気となった理由はその車両特性にあるでしょう。先に述べたようにほどよいパワー&トルクを持つコンパクトなFRという希少なパッケージも人気の理由にありますが、シルビア系は同年代のほかの国産RWDスポーツカーに比べると、リヤの流れ出しがとても穏やかという特徴を持ちます。この点がドリフトマシンのベースとして愛されている最大の理由でしょう。 また、比較的実用性のあるリヤシートを装備しているという点もメリットです。シルビアの原点はスポーツカーではなくスペシャリティカー、そのためリヤシートを備えているのが基本です。このリヤシートは人だけでなく荷物を載せる際も重宝します。自走で行って自走で帰るが基本の一般スポーツ走行ユーザーにとって、タイヤや工具を積むことができるリヤシートの存在はありがたいのです。(余談ですが86/BRZもタイヤの積載性を考慮して開発されました) S15は決して性能を一辺倒に追い求めたスポーツカーではありませんが、いい意味で中途半端なところが一般ユーザーにとって「痒い所に手が届く」という出来になったのです。
日産の庶民派スポーツの復活を願う
S15が生産終了となった時期に比べれば国産スポーツは充実したラインアップになっています。S15を生産していた日産もフラッグシップのGT-Rや、間もなく登場となる新型フェアレディZなどスポーツカーをラインアップし続けています。しかし、GT-RとZがラインアップされ続けているなかで、シルビアの名がないのは寂しいところ。現実問題、厳しいかもしれませんが、S15のような庶民派FRスポーツの復活を願いたいところです。