未走行の超希少なF50をコーンズが里帰りレストア
フェラーリ創業50周年を記念したスペチアーレ(特別モデル)であるF50。349台限定で生産された希少なモデルですが、なんと新車を納車してから一度も走行していない個体が日本で見つかったとのこと。この希少な個体を古くからフェラーリを取り扱うコーンズがレストア。究極のミントコンディションとも言えるF50が日本に誕生しました。今回はそのレストアの経緯や苦労した点などを伺いました。
車内には新車納車時の装備品もそのまま置かれていた
多くの人がこれほどまでに低走行のF50がどこにあったのか? という疑問を抱くことでしょう。残念ながら詳細はシークレットですが、オーナー様からコーンズへ「ほぼ未走行のF50を引き取ってほしい」と直接コンタクトがあったとのこと。
担当者が現車を見に行くと室内保管で埃をかぶっているF50があり、オドメーターの走行距離は新車の納車時から変わっていなかったとのこと。
コーンズでクラシックフェラーリのレストアをおもに担当しているメカニックの大西裕幸さんと、レースサポートなどさまざまな現場での経験が豊富な中村敦史さんのふたりを中心となって行われることに。中村さんがおもな作業を担当し、そのサポートやアドバイスを大西さんが行うという体制でスタートしました。
致命的なダメージはなかったが一部にサビが発生
レストア内容としてはエンジンや足まわり、クラッチなどほぼすべての箇所をオーバーホールし、油脂類やゴム類を交換したそうです。
ほぼ新車状態まで復活
こうした苦労の末、約8カ月に及ぶレストアは終了。レストアを終えた感想をそれぞれのメカニックに聞いてみました。
「まずは大西さんの作業を近くで見ることができたのが何より勉強になりましたね。単純にボルトを一本締めるだけでも、単に規定トルクに締めるのではなく、自身の手で感触を探りながら締めていく……。そういった古いクルマに必要な整備の心構えというのを肌で感じることができました(中村さん)」
「色々ありましたが、一番は最近機会がなくなってしまったエンジンをオーバーホールする経験をしてもらえたことがよかったと思います。とくにF50は12気筒の5バルブなので、エンジンの部品点数も多いです。そのようなエンジンをオーバーホールする機会で、中村君に教えることができたのは思い出深いですね(大西さん)」
完成したF50を実際に見せてもらうと外装も内装も、まさに新車そのもののような雰囲気で驚かされます。レストア後チェック走行が行われたため若干距離が伸びていますが、それでもオドメーターが指している距離はわずか160km。これ以上状態のいいF50は世界中探しても見つからないでしょう。