ホイールに求められるのは多岐に渡る高性能&高品質
一見すると、ホイールは簡単に作られているようだが実際は素材や寸法、そして精度など、厳密に作られている。適切なサイズのホイール&タイヤを履くことは、クルマの性能を余すことなく引き出す必要条件と言える。知っておいてほしい、ホイールの基礎中の基礎をおさらいしよう。
初出:XaCAR 86&BRZ MAGAZINE Vol.31(一部加筆)
ホイールは適当に好みで選べばいいわけではない
普段、何気なく見ているホイールだが、実際はさまざまな要件が求められる。とくに強度は国が定めた規格があるほどで、走行時には路面から大きな力がかかるし、瞬間的な衝撃や路肩などにぶつかった際の横からの入力もある。つまり全方位的な強度確保が求められるわけだ。
もちろん、デザイン性も大切な要素で、純正ホイールのデザインは昔に比べれば飛躍的に高まっているし、社外品では迷ってしまうほど、さまざまなタイプが用意されている。
選ぶ際に気を付けたいのは、ホイールは適当に好みで選べばいいわけではないということ。重いボディを4本のホイールで一手に引き受けるだけに、しっかりとした品質のものを、適正なサイズで選ぶのが基本だ。正しい知識を身につけてほしい。
押さえておきたいホイール知識の3つのポイント
ホイールサイズの見方
径と幅の単位はインチ。1インチは25.4mmなので、17インチでは約432mm。Jはフランジ(耳部分)形状のことであまり気にしなくていい。インセットとPCDの単位はmm。
中心位置の名称は
「オフセット」と呼ばれていたが、2008年に国際基準に合わせて名称変更された。プラスオフセットが「インセット」、マイナスオフセットが「アウトセット」などとなる。
ホイールバランスの意味
ホイール&タイヤは高回転で回るため、回転ムラ、つまり部分的な重量差をなくす必要がある。そのために行うのが、タイヤを組み付けた状態で測定するホイールのバランス取りで、その結果を見て軽い部分にオモリを貼って調整する。
鋳造と鍛造の違いって?
型に溶かしたアルミなどの素材を流し込んで作るのが「鋳造」、アルミの塊を高圧プレスで成型するのが「鍛造」。一般に鍛造ホイールのほうが高性能とされるが、現在はそうとも言い切れない。
新しい製造方法も登場
フローフォーミングなどと呼ばれるのが、鋳造した塊を押し出してリム部分を形作るという製法。一般的にはへら絞りとも呼ばれるもので、押す際に鍛えられるため、鍛造並みの強度を出すことができ、低価格なのが特徴だ。
1~3ピースなど構造の違い
簡単に言うと、全体がいくつのパーツからできているかということ。3ピースより1ピースのほうが強度は高く、デザイン性はその逆となるのが基本だ。3ピースはアウターリムだけの交換も可。
ホイールの塗装は特殊
キズに強く、耐久性や耐候性も求められるのがホイールの塗装。一般的な塗装のものもあるが、粉体塗装と呼ばれる粉状の塗料を焼きつける塗装も多い。またメッキ部分は塗装で行うスパッタリングという方法も増えてきた。
JWLなどの規格について
国土交通省が定めた技術基準が「JWL」(乗用車)。基本的にこれをクリアしていないホイールは車検に通らない。さらに第三者機関によって基準適合が確認されたものは「VIA」で、製造者損害賠償責任(PL)保険が担保された、業界団体が定める「JAWA」もある。基準をクリアしたホイールのほとんどに「JWL」や「VIA」のロゴが刻まれる。
さらに知っておきたい基本用語
【ハブ径】
ハブとは車軸の真ん中部分。ホイール側は中央の穴のサイズで、社外ホイールは広い車種に対応させるために大きめ。合わないと振動が出ることがあり、ハブリングで調整する。
【バネ下重量】
バネ(スプリング)の下の付属物ということで、タイヤ&ホイール、ハブ、ブレーキなどの重量を指す。軽いほうがサスの動きが良くなるため、軽いアルミホイールが好まれる。
【エアバルブ】
意外に忘れがちなのがエアバルブで、タイヤ交換時に併せて交換したい。差込式とネジ止めがあるが、接続部分はゴムなので劣化する。カラータイプなら、ドレスアップにもなる。
【マッチング】
数値的に合っていても、たとえば写真のブレンボ製キャリパーは大型で、ホイール裏に当たってしまうこともある。購入時はできるだけ実装してマッチングを見てみるのがベスト。これらを踏まえた上でホイールカスタムを楽しんでほしい。