PORを使ってコーティング開始
タンクコーティング剤は「POR 15 タンクシーラー」を使いました。小さな236cc缶ですが、20Lクラスのタンクでも余裕でコートできるらしいので、耕運機のタンクや自作タンクも一緒にコーティングすることにしました。
タンクの出口パイプを塞いだら、台所用洗剤をタンクに入れ、ガソリン成分を洗浄します。チェーンやナットなどを用意し、取り出しやすいようにヒモでまとめておきます。
それらをタンクに投入して水を入れたらキャップを閉め、内部のサビを削り取るべくひたすらシェイクして汚水を排出します。水がきれいになるまでこれを繰り返すのですが、それなりの重量があるのでいい運動になります。 疲れたところで、タンクを水平に置き「タンク用のサビ取り液」を満タンに入れて、24時間ほど安置させます。金属の地肌を傷めずに、時間をかけてサビだけを溶かしてくれます。このとき使ったサビ取り液は何度でも繰り返して使えるタイプだったので、使用後の液をバケツで回収して大きなペットボトルで保管しました。空になったタンクは素早くお湯で洗浄します。
サビの取れたむき出し状態の鉄板の表面にサビ取り液の成分が残ったままで空気に触れると、急速にサビが発生するという逆行した症状が現れます。お湯で洗いながらチェーンを入れてシェイクしたら、黒くなったサビの粒が出てきました。洗浄後の水分ももちろんサビの発生を呼びますから、ワニ口に咥えさせたウエスをタンク内で振って、水気を吸い取ります。
さらにドライヤーやバーナーでタンク全体を温めて水分の蒸発を促します。
サブタンクも併せてコーティング
タンクの内部が乾燥したら、やっとコーティング作業です。料理と同じで下ごしらえに多くの時間がかかりました。タンクシーラーの缶をよく振って液を攪拌させたら、タンクにそっと注入します。給油口をガムテで塞ぎ、タンクの内面全体にシーラーが行き渡るようにゆっくりと回します。
コートし終えたら、シーラーをコップに出し、次のタンクに注入して同じ手順を繰り返します。乾燥が遅いので慌てることはありません。注意する点は、細いパイプの内部にシーラー液が残らないようにエアを吹き、通路を確保することです。液が残ったまま凝固してしまうと悲惨なことになってしまいます。カブのタンクは上面の裏側が錆びやすいような気がしたので、塗り残しがないようにひっくり返した状態で念入りに回転させました。
タンクを3個シールし終えてもまだ缶に3分の1ほど回収できたので、サビの出ていないハンターカブのサブタンクもコーティングしておきました。サビる前に手を打つのが最善策でしょう。空気に触れてしまったシール剤は、缶に戻しても硬化が進みますから早めに使い切るようにします。施工後、シーラーが乾燥するまでじっくりと3~4日ほど寝かせました。その間にタンクの塗装や補修、ワックス掛けなどをしてしまいます。
タンク内部がツヤツヤに乾燥したのを確認できたら、コーティング作業の終了です。掃除とワックス掛けのすんだ耕運機本体にタンクを戻します。次に姿を見るのはいつのことになるのかわからない、カブのタンク下のフレームにも入念にワックスを掛け磨きます。タンクを取り付けたら、エアクリケースやマフラー、サブタンクを装着してすべて完了です。
作業後、タンクのサビ発生はどうなのか?
あれから14年ほど経過した、2021年現在のハンターカブのタンクです。その後タンク内にサビの発生は一切なくて、給油口まわりのシルバーのシーラーもご覧のとおり健在です。燃料フィルターにも少しばかりのゴミがありますが、サビの粒子らしきモノは見当たりません。
しっかりとサビを除去してから入念にコーティングを施せば、こんなにも長期にわたり効果が続くものかと感心しています。以上、サビの発生から対策、メンテ後の様子までの長期リポートでした。