サーキット走行は意外とお金がかかる……
一般道と比べてクルマに大きな負担がかかるサーキット。タイヤやブレーキの摩耗は視覚的にわかりやすいが、エンジンやトランスミッションの油脂類も熱で大きく劣化するのだ。
オイル交換は走行前と走行後にしなければならない?
レブリミット寸前までエンジンを回したり、その近辺をキープしながら走り続けるなど、普段とはまったく違う使い方をするだけに、メンテナンスが必須なのはごく当然だろう。昔からサーキット走行とオイル交換はセットと考えられ、さまざまなメディアやチューナーたちが啓蒙してきた。
しかし多くの初心者が頭を悩ませるのは、オイルを交換するタイミングについて。理想はエンジンを酷使するサーキット走行前、そして走り終えて劣化してからの両方だが、当然ながらオイル代も倍と高額になってしまう。ただでさえサーキット走行は参加料に交通費、そのほかの消耗品と出費の多い趣味だ。
加えて走行前後にそれぞれオイル交換となれば、二の足を踏んでしまう人も多いに違いない。ならば走る前と走った後のいずれかに限定するなら、ベストなタイミングは果たしてどちらなのか。
サーキット走行のプロの答えは「走行前」
サーキットに強い数名のチューナーに聞いてみたところ、答えは車種やオイルの粘度に関係なくすべて「走行前」とのことだった。理由もほぼ一緒で、以下のとおり。
エンジンオイルは高回転を使ったことによる熱だけじゃなく、街乗りであっても距離や時間によって劣化してしまう。推奨の交換サイクルが『何千kmまたは何カ月』とされる理由がまさにそれで、仮に3000rpmしか回していないとしても、半年も前に交換したようなオイルは本来の性能を発揮できない。その結果、サーキット走行が引き金となって油膜切れを起こし、最悪はエンジンブローなんて可能性もあり得るのだ。
そこまで至らずとも「エンジンオイルがヤバいかも」なんて状態では、全開でアクセルを開けるのが躊躇されるし、楽しさも半減してしまう。サーキットを走る前日とまでは言わないが1週間前には交換し、それ以降は負担の少ない走り、つまり高回転を使わないように心がけたい。
とはいえサーキット走行で思い切り酷使したオイルを、街乗りで使うことに抵抗がある人も少なくないと思われる。その点も話を聞くと、とくにエンジンオイルの負担が大きい真夏だったり、耐久レースのような長時間となれば話は別だが、1時間くらいの平均的なサーキット走行であれば、あまりナーバスになる必要はないとのこと。
過激に走らなければ走行後すぐの交換はしなくても大丈夫
一般道を静かに走るレベルであればサーキットを走ったあとのオイルでも、エンジンに致命的なダメージをおよぼすことはないだろうというのが、意見を聞いたチューナー全員に共通する答えだった。
モチロン走ってから半年も放置するなんてのは論外だし、高速巡航が多いようなユーザーは早めの交換が鉄則。もしマイカーに後付けの精密な油温計や油圧計、データロガーがあれば、数値から交換の時期を読み取ることも不可能ではないかもしれないが、よほどの上級者じゃない限り自分で判断するのは難しいに違いない。