ガソリンの値上がりどこまで
ガソリンの値上がりが止まらない。経済産業省資源エネルギー庁が発表した2021年10月18日のレギュラーガソリン全国平均価格は、1リットルあたり164.6円で、前の週より2.5円高くなっている。
7週連続で値上がり続いている
資源エネルギー庁は全国のガソリンスタンドなどの小売店でのガソリン、軽油、灯油の店頭現金小売価格調査を行っており、週次調査結果が公表されている。過去30年にわたっての推移では、ガソリンがリッター160円を超えたことは5度。直近は2018年10月22日の週次報告の160.0円の一度だが、その前にあった160円オーバーは2014年4月1日から11月4日まで7カ月にもわたっていた。 また原油高騰だった2008年には8月4日に185.1円の高値ピークが見られ、この年も5月半ばから10月半ばまで160円台だった。長さで言えば、2014年のオーバー7カ月が長いことがわかる。 そして今回のガソリン急騰の理由は、世界規模でコロナウイルス騒ぎが収束に近づくに伴い需要が増えていること。それに加えて、ふたたびのパンデミックによる需要減少を懸念してOPEC(石油輸出国機構)が減産傾向にあるからだと言われる。つまり、石油が欲しい人は多いのに、石油を汲み出してくれないことが大きな原因だというわけだ。値上がりは8月下旬から7週間に渡り続いているうち、3週連続で160円台ということになる。
今後の価格へ影響する「諸事情」とは
日本ではこうしたわりと単純な要素での価格高騰だが、イギリスはさらに根が深い。イギリスではガソリンを求める人が長蛇の列を作り、各地のガソリンスタンドでガソリンが枯渇するという事態が起きた。しかも、イギリスではガソリンの備蓄は十分にあったというのだ。
どうして、このような枯渇状態となったかといえば、タンクローリーの運転手が不足していたからだというのだ。イギリスではタンクローリーの運転手として多くの移民が従事していたのだが、EU離脱に伴ってビザの発行を厳しくしたことが原因とのこと。 日本ではあまり運転手を外国人労働者に頼ってはいないが、運転手の高齢化が進んでいる。いずれ運転手不足が起き、それに伴い賃金の上昇も起きるだろう。そしてその賃金を負担するのは消費者であることは間違いない。
また「そういえば、ガソリンって平均価格が1Lあたり160円以上で続くと、税金が下げられて安くなるのではなかったっけ?」という記憶をお持ちの方もいることと思う。
2010年に当時の民主党政権は“ガソリン価格が3カ月続いた場合、現在課税されている揮発油税と地方揮発油税の特別税率分25.1円を徴収しない”といういわゆるトリガー条項が租税特別措置法に盛り込まれていた。しかし、翌2011年に発生した東日本大震災の復興予算が必要だということでこのトリガー条項は適用が停止になり、現在に至っている。