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「食う」「寝る」「遊ぶ」そして「過ごす」! 日本でも買える「純正キャンピング欧州車」3選

バカンスの盛んなヨーロッパならではの豪華で快適なキャンパー

 何日もかけて目的地に近づく遠出やキャンプの際に、安宿やテントを張るのと並び、寝泊まりの方法としてすっかり定着している車中泊。さまざまな装備やハック、オプションやカスタムが開発されているが、販売店から納車されたその日から、ツルシ仕様のままで至れり尽くせり、それがロングツアラー&キャンピングの本場たる欧州メーカーの純正キャンパーだ。「食う」「寝る」だけじゃなく、車中で「遊ぶ」「過ごす」まで視野に入れたレベルの高いコンフォート性と、大船に乗っているかのごとき余裕の動力性能は、まさしくワンランク上の大陸仕様。日本でも買えるそんなキャンパー3選を紹介しよう。

メルセデス・ベンツV220dマルコポーロ ホライゾン

 今のところ日本市場で正規輸入元から販売されているキャンパー仕様が、メルセデス・ベンツVクラスのバンをベースとするこちら。163psのディーゼル2.2Lターボに7速ATという、長距離行にも心強いパワートレインを備え、MBUXからレーダーセーフティパッケージまでメルセデス・ベンツ十八番のインテリジェントドライブも抜かりなし。

 ふたりが寝られるポップアップルーフとフルフラット可能な2列目・3列目シートによって、5人分の就寝スペースが確保されている。ユーロキャンパーのお約束通り、前列シートは回転式で、向かい合っての食事に便利な収納式センターテーブルも備えているので雨の日も過ごしやすい。

 右側スライドドアの上方にはサイドオーニングも装備し、車外に寛ぎスペースを作り出すのも簡単。リーディングライトを点けたときの、ポップアップルーフ側面の柔らかな灯りや、2列目シートにまでベンチレーターやシートヒーターといった快適装備が付く点も、心憎い。今秋現在、959万円(税込)のプライスが付いている。

フォルクスワーゲンT6.1カリフォルニア

 ヒストリックカー市場で絶賛高騰中のトランスポーターT1・タイプIIこと「ブリー」以来、T2、T3、T4、T5と、VWのバンといえばユーロキャンパーの大定番。コンビやカラヴェル、ヴァナゴンやマルチバンなどベースモデルの名称は変遷してきた。

 2015年に登場した、T6世代がマイナーチェンジしたT6.1が現行世代。来年2022年にはT7の導入が噂されているが、アメリカ市場で人気に火がついた初代へのオマージュで、「カリフォルニア」のペットネームがキャンパー仕様には定着しており、さまざまなバージョンが並行輸入で人気を集めている。仕様によっては、コンロ×1と調理台というミニキッチン・ユニット備えつけのモデルもある。

 パワートレインはTDI 2Lディーゼルに7速DSGもしくは6速MTが組み合わされ、4モーションつまり4WDモデルもある。ショップによっては、ボディの2トーンカラーや、ポップアップルーフ側面のファブリック色を選べるところもあり、パーソナライズが効くキャンパーといえる。850~1000万円ほどが車両価格の目安で、オプションによっては青天井だ。

フォード・トランジット・カスタム・ナゲット

 2019年登場と上記2モデルよりも後発ながら、4.97mという5mに満たない全長にしてリヤにL字型キッチンを配するなど、装備の充実度で抜きん出た新世代キャンパーだ。というのもベースモデルのフォード・トランジット・カスタム自体がノーズの短いFFで、スペース効率に優れるパッケージングだったため。2017年のマイナーチェンジ以降のモデルはディーゼル2LターボのTDCiが主力となっており、185ps/415N・mという強心臓も魅力となっている。

 リヤ側が持ちあがるポップアップルーフを備え、さらにリヤベンチシートを倒せば、上下それぞれふたりずつのダブルベッドが現れる。

 ベッドを格納している際は、フロント側を居住スペース、リヤを水まわりと区分けし、L字型キッチンにはガスコンロ×2口と40Lの冷蔵庫、42Lの水タンクをも備える。

 だがこれとてスタンダード・モデルで、「ナゲット・プラス」と名づけられたロングホイール仕様がベースのハイルーフ車には、より広く快適な就寝スペースと、電動水洗式のトイレ&洗面台ユニットが備わる。さらには最後に発表された「ビッグ・ナゲット」と呼ばれる、最大サイズのシャーシに基づく仕様では、就寝定員を2名に減らしつつも、給排水タンク容量を各100Lに増やして給湯機能も備え、もはやモーターホームと呼べる内容となっている。車両価格は、並行車のつねで時価となるが、トランジット・カスタム・ナゲットで1100万~1200万円前後。

いずれもコーチビルダーは名門ウェストファリア社

 以上、欧州フォードを含む本場ドイツ発のキャンパーを紹介してきたが、シートアレンジやポップアップルーフ、収納式センターテーブルにオーニングといった基本装備や使い勝手が、似ていることに気づくだろう。それもそのはず、日本市場で購入できるこれら3車種のキャンパー仕様を架装するコーチビルダーは、いずれもウェストファリア社だったりする。細かな使い勝手は近いものがあるからこそ、純粋にベース車両の好みで選べる、逆にいえばそれほどまでに、キャンパー文化が欧州では成熟しているといえるのだ。

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