50年前のよき時代のクルマを振り返る
1971年、計算が正しければ今から50年前である。よくある“この年の出来事”風にこの年の事象をランダムにピックアップすると、マクドナルドの日本第1号店銀座にオープン、札幌一番塩らーめん発売、沢田研二「君をのせて」でソロデビュー、多摩ニュータウン入居開始、首都高3号線渋谷〜東名東京IC間開通、京王プラザホテル本館オープンなどなど、さまざまな新しいものが生まれたり始まったりした年だった。
筆者も沢田研二のシングル盤は何枚か買っていたから、その年の暮れのレコード大賞の受賞シーン(大賞は尾崎紀世彦だったが)は自宅の炬燵に入りながら見ていて憶えているが、70年代という新しい時代を、激動の……といった受け止めではなく何となく迎えていた……そんな気がする。
いずれにしろ、50年前といえば、もう十分に遠い昔のことでもある。そんな1971年にはいったいどんな国産車が誕生していたのか?
トヨタ・クラウン
まず注目なのは、当時のトヨタ、日産のフラッグシップモデルの動向だ。まずクラウンはこの年に通算で4世代目となるモデルを登場させているが、自身のカタログでも謳っている“スピンドルシェープ”の斬新なスタイリングを採用。さらに最上級グレードのスーパーサルーンが登場したのもこのときである。ハードトップとカスタムと呼ばれた8人乗りのワゴンも用意。ただし、必ずしもクラウンのユーザー層に馴染めるスタイルとはいえなかったのが実情だった。
日産セドリック/グロリア
それに対して、セドリックとグロリアが兄弟車として統合された最初のモデルだった230型は、オーソドックスなスタイリングで好評を得た。セダン、ワゴンのほか、ハードトップも人気を集め、2ドアだけでなく、このクラス初となったピラーレスの4ドアハードトップも設定した。
日産ブルーバード
ハードトップといえば610型ブルーバードUも、1971年に登場したモデルのひとつ。コロナ・マークIIを意識した豪華仕立てのブルーバードで、6気筒エンジンを搭載したロングノーズ版も登場させたほど。ただし1976年にフルモデルチェンジでは大人しいルックスに生まれ変わっている。
日産サニー
一方で“隣のクルマが小さく見えま〜す”のフレーズが有名だった2代目サニーの上級版であるエクセレントも、1971年に登場したモデル。それと近年人気を集めている“サニトラ”ことB120型サニートラックも、最初のモデルが登場したのはこの年だった。
日産チェリー
日産ではもう1台、1970年に登場した日産初のFF車にして、チャーミングなコンパクトカーのチェリーにクーペ版が登場。ロータス・ヨーロッパを思わすユニークなスタイリングのクーペには、1.2Lのツインキャブを搭載のX1と、そのレース用のベース車X1-Rを追加した。 スポーティモデル系では、マツダ・サバンナ(とグランドファミリア、)、三菱ギャランクーペFTO、スバル・レオーネクーペなどがある。
マツダ・サバンナ/グランドファミリア
サバンナはロータリーエンジン搭載車としては、コスモスポーツ、ファミリアロータリークーペ、ルーチェロータリークーペ、カペラに次ぐ5車種のモデル。10Aとより高性能な12Aがあり、さらにクーペだけでなくセダン、スポーツワゴンも設定し、走りのマニアから注目を集めた。 グランドファミリアは、このサバンナと基本的に共通のボディを採用するレシプロエンジン搭載車として登場した。