偽装したテスト車の存在が公開され話題に
ホンダの北米法人であるアメリカンホンダは2021年10月4日、2022年発売予定としている新型「シビックタイプR」について、「独ニュルブルクリンクでのテスト準備が整った」と称する短いプレスリリースを出した。これに合わせて、外装をカモフラージュした車両の前後の画像も公開している。
エンジンやサスペンションなどに関する車両スペックは未公開ながら、タイプRを待ち望んでいる世界中のホンダファンは「デビューに向けた確かな姿」を確認できたことに、ホッと胸をなでおろしていることだろう。
ホンダの“スポーツ”が続々と終了に……
なにせ、最近のホンダといえば、ホンダ最上級スポーツカーの第二世代NSXがタイプSを持って生産を終えることが明らかになり、またホンダのスポーツカーの魅力をより多くの人に味わってもらうために開発されたS660も生産終了となった。
さらに、ホンダの魂というべきF1からも2021シーズンをもってワークス活動を完了させる。2022シーズンはレッドブルグループ向けのテクニカルパートナーとして、エンジン供給とレース現場でのサポート体制を敷くことが明らかになっているが、ホンダとしてのF1参戦は60年代以来続けてきた研究開発活動にピリオドを打つという、ホンダにとって大きな決断である。
このように、ホンダの四輪はいま、大きな節目を迎えている。だが、そうしたなかでなぜシビックタイプRについて、ホンダは拘りを持って新型を市場導入するのだろうか?
こうした疑問について、2021年4月にオンライン開催された三部敏宏ホンダ新社長就任会見の際、筆者を含めて参加した記者からは三部社長にさまざまな質問が飛んだ。
この会見ではNSXやS660生産中止、F1撤退にとどまらず、なんと「2040年にグローバルで四輪量産車のすべてをEV(電気自動車)またはFCV(燃料電池車)とする」との日系メーカーとしては異例の高い目標を掲げた。
そのなかで、三部社長は2040年というタイミングについて、「2050年のカーボンニュートラルを目指すためには、新車がEVシフトする期間を最低でも10年間と見積もったため」と説明した。