電動化でもホンダらしい走りの象徴がタイプRだ
2040年というとけっこう先の話に思うかもしれないが、よくよく考えてみればいま(2021年)から19年後だ。一般的な新車モデルサイクルが6~7年であるため、今から3モデル先にはホンダ車はすべてEVかFCVになってしまうことになる。ユーザーとしても、身を引き締めてホンダのこれからを見守る必要があるはずだ。
その上で、純粋な内燃機関を採用するタイプRとしては最終バージョンとなる可能性が高いのが、先ごろ日本で5ドアハッチバック車の1.5Lターボ車が発売された第11代目シビックだ。
先日公道で試乗した際、オンラインで意見交換したホンダのエンジニアらは、タイプRについての詳細については触れなかった。だが、筆者としてはタイプRを見据えたしっかりとした基礎骨格に仕上がっていることが確認できた。
4月の会見で三部社長は、今後EV化が進んでも「例えば、タイプRのような仕様をEVで実現することは十分可能であり、そうした研究を社内で検討している」と、EV版タイプRの可能性を示唆している。
つまり、タイプRとは内燃機関や電動モーターを問わず、四輪量産車において、ホンダとした商品の差別化を続けていくことができる、極めて重要な「ブランド」なのだと思う。今後、12代目シビック、そして13代目シビックがどのような形でEVに向けた電動化の階段を登っていこうとも、タイプRはその時代にあった形で生き続けることになるだろう。