ヒストリックカーラリー=速く走った者が勝つわけではない
ヒストリックカーラリーは、決められた区間を決められた時間で、どれだけ正確に走行できるのかを競う線踏み競技(=1000分の1秒単位で計測するPC競技。基準タイム走行とも呼ばれる)で獲得した点数にて順位をつけているが、今回、このコンペティションをほかのエントラントと同条件で体験させてもらった。ラリーという名のイベントだが、速く走った者が勝つわけではないのだ。
ちなみに、ヒストリックカーラリーは線踏み競技だけではない。走行ルートが記されたコマ図(マップ)上のチェックポイント認証による公道走行(=スタンプシートの提出)や、指定速度競技(アベレージ走行)やCO競技(ルートブックに記載された指定時刻に前輪で計測ラインを踏みながら通過し、その誤差を競う)なども実施されるのが通例だ。
既述したようにMARINE GPは“参加しやすいイベントとしてスタート”したので、線踏み競技だけが実施された。そのうち、さまざまな競技が盛り込まれ、より難易度が増していくことになるだろう。
地域文化や名所に触れることができるルートを走る
今回の走行ルートは、名古屋市役所→名古屋トヨペット本社駐車場→まるはリゾート→内海海岸海水浴場 東浜駐車場→NTPマリーナりんくう、というもの。名古屋市役所でのスタートを盛り上げてくれた衆議院議員の古川元久氏に見送られながら、各車が1回目の線踏み競技会場となる名古屋トヨペット本社駐車場を目指した。
名古屋トヨペット本社駐車場での線踏み競技はPC-1からPC-3で、主催者が設定したタイムは、PC-1が15mを5秒、PC-2が10mを5秒、PC-3が30mを6秒というものだった。
まるはリゾートでの昼食後に実施された2回目の線踏み競技は、内海海岸海水浴場 東浜駐車場に3連続で設けられた。だが、これはコロナ禍の影響でキャンセルとなり、リザルトには反映されない練習用となった。
3回目の線踏み競技はゴール直前のNTPマリーナりんくう横のスペースに5連続で用意された。PC-4が95mを13秒、PC-5が90mを12秒、PC-6が10mを3秒、PC-7が90mを11秒、PC-8が95mを12秒という、長短が交ざった難易度の高いものだった。
競技性の高さを維持しながら誰でも楽しめるのがポイント
ゴール後にNTPマリーナりんくう内の特設ステージで行われた表彰式にて、各クラスの上位5組と総合3位までのエントラントがステージに登壇し、各協賛スポンサーから豪華な賞品が贈られた。わが水色号はルートブックの読み上げと線踏み競技におけるカウントダウンを担ってくれた、コ・ドライバーの米澤 徹(AUTO MESSE WEB編集部)が活躍。獲得点数:1055ポイントで、Bクラスの2位に入賞することができた。ビックリである。
総合優勝したチームの獲得点数は1795ポイントだったので、まだまだ精進と練習が必要だが、編集部・米澤の初陣としては上出来だったと思っている。 ヒストリックカーミーティング実行委員会の事務局長だった天野氏が存命だったころの名古屋クラシックツアー、ヒストリックカーミーティング、ジャパンクラシックツアーは、大切なパートナーを大切なクルマに乗せて参加してもよし、ファミリーで参加してもよし、という、まったく新しいスタイルのイベントだった。
それでいて、競技性の高さを維持しながら、地域文化や名所に触れることができる旅の要素やエンターテインメント性も高められており、イベントとしての独自性を確立していた。
そして、ダンナや彼氏だけが自動車趣味に没頭するのではなく、ファミリーやカップルでイベントを楽しむことをモットーにしていた天野氏のイベントでは、女性が主役とばかりに毎回さまざまなプレゼントが用意されていたことも印象的だった。
天野氏時代のそれとまったく同じことをやるのは難しいが、偉大なる故人の遺志を受け継いだイベントとして、Sakura RallyとMARINE GPには大いに期待したいと思う。ヒストリックカーラリーに一度も参加したことがないビギナーも楽しめる内容となっているので、気軽にエントリーしてみるといいだろう。好イベントなので、僭越ながら、今後も継続開催されることを願っている。