独自のV8エンジンを搭載して上級モデルを志向
ルノー900コンセプトの2号車では、エンジンをリヤミドに配置することで重量配分と運動性能が向上しているのはもちろん、リヤのラゲッジスペースが広く使いやすくなっている。
当初エンジンにはシボレー・コルヴェアの空冷水平対向6気筒エンジンも検討されたそうだが、結局、ドーフィンの845cc水冷直列4気筒エンジンをふたつ組み合わせた、独自のV8エンジンを製作して搭載している。このV8エンジンは1690ccで、資料によれば最高出力80psというスペックを与えられている。
さらに足まわりには4輪ディスクブレーキを備え、当時ルノーの最上位モデルだったフレガートの後継モデルとなることを目指していた。
スペースの快適さはまさしくラグジュアリーカー
インテリアも凝ったつくりだ。この900コンセプト2号車ではステアリングコラムを折り畳んで乗り降りしやすくする機構を備えているし、当時流行していた大型のスピードメーターやステアリングホイール内側のホーンリングもおごられ、シートやドアパネルの内装は洒落たチェック柄となっている。
後部座席は背の高い人でも乗り降りしやすく、足元も広々として快適。フロントシートの背後に小物入れのバッグが備わっている。
1950年代後半の中~上級サルーンとして、ルノーの開発陣が車内空間について極めてマジメに追求していたことが伺える。
ルノー900コンセプトは結局、市販モデルとして採用されることはなかった。だが、既成概念にとらわれずに乗用車のスペースユーティリティを追求するルノーの伝統は、のちのエスパスやアヴァンタイムなどにしっかり継承されていったのだ。