いち早く電子制御ダンパーを装備
サスペンションは四輪独立懸架を採用。前後ともストラット式だが、フロントはLアーム式、リヤがデュアルリンク式で、スーパーチャージャーのGT-Zはリヤの一部にピロボール式ブッシュを採用して走りを強化。 サスペンションもTEMS(トヨタ・エレクトロニック・モジュレ―テッド・サスペンション)が備わり、モード切替えAUTOとSPORTを設定。サスペンションの切り替えをマイコンがソフトかハードを判断してショックアブソーバーを二段階に切り替え、アンチダイブ機能も備わる。電子制御の黎明期に開発陣は果敢に取り組み、普及価格帯のクルマにも電子デバイスを搭載した。タイヤサイズは195/60R14で、当時トヨタ車でおなじみの西ドイツのイントラ社製のアルミホイールも用意されていた。
インテリアも車内全体をフルトリム化して質感を高めたほか、メーターには通常のアナログに加えて、エレクトロリック・ディスプレイメーターを設定。ワンタッチ式パワーウインドウやドアロック、電動格納式ドアミラー、2DINのオーディオスペースやカップホルダーも装着でき、分割可倒式リヤシートも採用。エアコンは全車オプションながら、上級モデル負けない装備を誇った。
マイナーチェンジでエクステリアを小変更! 「定番クーペ」としての地位を確保
マイナーチェンジではGT-Zがハイオク仕様となって、165ps/6400rpm、21.0kg-mまで出力を向上。リヤスポイラーにハイマウントストップランプが装着されるなどトレンドにそった変更がなされて商品力が確保されたが、トレノのフロントマスクがヘッドライトの上にリトラクタブル・ヘッドライトがついているような形状となったため、一部から不評となってしまった。 AE86が現在のように神格化されていなかったこともあってか、AE92は歴代最多の販売台数を達成。すでに走りに興味を持たないユーザーは駆動方式に興味を持たなかった、もしくはFFの方が先進というイメージもあったといえる。
個人的に面白いのは、当時クルマに興味のない知人に「レビンに4ドアってないの?」という質問を受けたこと(4ドアはカローラです)。自動車免許を取ったらとりあえずクルマを買うか、なんて思えた良い時代に、万人向けのクーペとしてファーストチョイスとなる定番クーペ。それがAE92だったのだ。
■トヨタ・カローラ・レビンGT-Z(AE92)
全長×全幅×全高=4245mm×1680mm×1300mm
ホイールベース=2430mm
トレッド 前/後=1455mm/1435mm
車両重量 1070kg
乗車定員 5名
最小回転半径 5.2m
室内寸法 長×幅×高=1785mm×1380mm×1085mm
エンジン 4A-GZE型 DOHC直列4気筒16バルブ
総排気量 1587cc
最高出力 145ps/6400rpm
最大トルク 19.0kg-m/4400rpm
タイヤサイズ 前/後 195/60R14(前後とも)
ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
サスペンション 前/後 ストラット式 (前後とも)