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名車「スバル360」の影に隠れがち! 優等生だけどちょっぴり地味だった「R-2」はスゴかった

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了/SUBARU

先見の明ある盛り付けだった「R-2」

 スタイルが一新されたことも、もちろん大きなトピックになりました。スバル360でも限られた外寸(当時の軽自動車枠は全長3000mm×全幅1300mm)のなかで居住スペースを最大限まで稼ぎ出す、という目的は同じでした。ですが、R-2ではより現実的なテーマとして、例えばトランクスペースの確保なども考慮されることになりました。スバルR-2 ホイールベースを長くしたことで、当時の小型車並みのキャビンスペースを確保するとともに、フロントノーズとボンネットを嵩上げしたことで、充分なトランクスぺースも確保していました。また、これは安全性の見地からですが、リヤヒンジで前開きのドアを一般的な前ヒンジで後開きとし、プレスドアを採用したのもトピックでした。

 結果的にスタイリングは、当時のフィアットのコンパクトカー、500(正式名称はフィアット・ヌォーバ500ですが、通称であるチンクェチェントの方が通りがいいようです)に似たものになっています。またジャルディニエラと言えば、リヤエンジンながらワゴン版のジャルディニエラ(※次の写真)の存在が思い浮かびますが、R-2でも同様にルーフをボディ後端まで伸ばし、跳ね上げ式のリヤゲートを持ったバンをラインアップしていたことが思い起こされます。ジャルディニエラ・ジャルディニエラ ともにリヤエンジンのコンパクトカー(マイクロカー)で、サイズ的にもR-2の方が全長が25㎜長く、反対に全幅はチンクェチェントの方がが20mmほど幅広い程度で、ほぼ同寸法であることはとても興味深い事実です。そして何よりも、それぞれダンテ・ジアコーザと百瀬晋六という自動車史を代表するような名エンジニアが開発を担当したというのも、見事な共通点となっています。

 ただし、チンクェチェントが当時から高い評価を受け、今なお根強い人気を持っているのに対して、R-2の方は、パイオニアとして評価の高かった先代モデルの陰に隠れる格好で、過小評価され続けたのは、じつに残念な事実です。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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