海外に逆流出する前に手に入れておきたいBMW E46型「M3」
日産スカイラインGT-Rが海外へと輸出され、高騰しているのはご存じの通り。だが、日本国内にある輸入車にも海外から買い付けられてしまうモデルが存在する。それはバブル期に日本国内に集められたスーパーカーなどが中心だが、2001年に日本導入された3代目BMW M3(E46型)も当てはまる。 その理由は、まず日本国内で販売されたモデルはどれも走行距離が少なく、しかも車検でしっかりと整備されていること。そしてディーラーでメンテナンスされていたのなら、ブレーキローターや燃料ホースまでしっかりと交換済みで、まめな洗車やボディコーティングなどで外装もキレイに保たれている。さらに、日本人のモノを大切にする、またはきれい好きの性分によって経年のわりに状態が良いタマが多い。とにもかくにも日本で販売されたクルマは、欧州車であっても特筆に値するほど魅力的な中古車が比較的多い傾向がある。
もちろん、例外もあるので中古車探しの際は見た目だけにとらわれず、しっかりコンディションをチェックすることをお忘れなく。
高回転型NAを搭載したホンモノのシルキー6が体感できる最後のM3
ここまではどの輸入車にも当てはまるのだが、なぜBMW M3かというと、M3最後の高回転型自然吸気直6エンジンを左ハンドル(日本には右ハンドルもある)とMT(セミATのSMG-Ⅱもある)でドライブできること、これに尽きる! BMW M3は、初代E30型こそ専用トランクスポイラーに大型リヤスポイラーが目を惹いたが、2代目のE36型以降のM3は、クルマ好きではない普通の人が見ればほぼ変哲のない3シリーズ。E46型ではちょっと車幅が広くなった程度で、知らなければやはりフツーの「ビーエム」。だけど乗るとすごい! そんな羊の皮を被った狼だった。
49:51の前後重量配分でバランスを最適化したハンドリングマシン
ボディは、もともとハイパフォーマンスモデルのM3を作ることを前提にした高剛性ボディが与えられ、さらに強化。ベースとなるクーペとセダンは、じつはエンブレムぐらいしか共用部品はないのだが、そのクーペの全幅を25mm広げて18インチタイヤを装着。タイヤサイズは前輪が225/45R18、後輪255/40R18(19インチはオプション)を履きこなす強靭なボディとしたことで、エンジン性能をフルに発揮できるように仕立てられていた。 エンジンはBMWの流儀にならって車体中央寄りに搭載されており、室内は広いとはいえないのだがそれもM3にとっては利点。前後重量配分が49:51になるなど、ハンドリングを最優先に構成されているのだ。
ロングストロークながら驚異のピストンスピードを誇るS54B32型を搭載
E46型M3に搭載されるエンジンは、モータースポーツを手掛けるM社がチューニングしたS54B32型、3.2L DOHC直6で、ロングストローク(ボア87.0mm×ストローク91.0mm)ながら、レッドゾーンは8000rpmから。最高出力343ps/7900rpm、最大トルク37.2kg-m/4900rpmを誇る、驚くほど高回転型ユニットになっていた。この凄さは8000rpm時のピストンスピードは20m/sec以上ということで、当時自然吸気のF1エンジン並みの速さだった。 ちなみにBMWの社名にあるMは、モトーレン=エンジンという意味を表すだけあって、根っからのエンジン屋が作った高性能スポーツユニットが搭載されていたという訳だ。 可変バルブ・タイミング・システムであるダブルVANOSに加えて6連スロットルが採用され、低重心化のために直6ユニットをあえて30度傾けて搭載。排気効率優先で設計された排気マニホールドを経て車体後部へとつながるのだが、4本出しのマフラーはトランク下のスペアタイヤ収納スペースを半分以上つぶしてしまうほど大きなもので、消音と排気効率を優先。スペアタイヤの代わりにパンク修理キットを標準装備していたほど、走りにこだわっていた。