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右半身不随でも諦めない! 独自の「運転補助装置」を開発し「356ロードスター」に返り咲いた男

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TEXT: Auto Messe Web編集部 竹内耕太  PHOTO: 奥村純一

次なるチャレンジは本命の356ロードスターでの公道復帰

 ビートルでのドライブに習熟した小島さんにとって、次の課題は、かつての愛車であった356への復帰だった。オリジナルのポルシェ356を入手してスポルトマチック・トランスミッションを移植する方法も考えたが、今や世界的に高騰しているヴィンテージ・ポルシェでそのような大手術は現実的ではない。

 そこでカナダのインターメカニカ社が製造していた356ロードスター・レプリカに白羽の矢を立てた。かつて病気になる前に乗っていたモデルでもあり、エンジンもVWのフラット4ユニットを搭載していて扱いやすい。そして何より、インターメカニカの初期型には、VWタイプ3用の3速ATを搭載しているモデルが存在したのだ。

 2017年、小島さんの条件にマッチする1989年式インターメカニカ・356ロードスターの3速AT仕様車がSNSで個人売買に出ていたのを購入。まずはビートルでも使っていた、ワゴンR初期型の電動パワステユニットをご友人に装着してもらった。

 ステアリングホイールには旋回グリップを取り付け、左手だけでの操作をより確実なものとしている。

 インターメカニカ356の運転席に「小島式アクセルアシスト装置」をインストール。基本的にはペダルがオルガン式なのでビートル用と共通だが、もちろん356用に微調整してある。左ハンドルでブレーキペダルの位置が車体中央に寄っているため、操作に慣れるまではひと苦労だったという。

 左足を手前に引くと、リンケージを介してアクセルペダルが前に踏み込まれる仕組み。てこの原理で支点を高くすれば、その分、踏力が軽く済むわけだ。しっかり溶接してあるが、耐久性に関しては念には念を入れて、ほぼ毎回、正常に動作するか点検しているそうだ。

装備がモダナイズされたレプリカならではのメリットも

 ビートル・スポルトマチックは右ハンドルだったがこちら356ロードスターは左ハンドルで、なおかつシートの着座位置も低いため、乗り降りと運転操作に慣れるまで8カ月かかったという。運転席と助手席の間には、乗降の際に上半身をあずけるパーティションボードを入れている。

 356ロードスターは幌つきのオープンカーだが、ひとりで幌の開け閉めはできないので開けることはない。そのかわり、丈夫な幌のフレームに乗降用のグリップを取り付けている。

 レプリカながらも、1980年代後半に快適に乗れるよう豪華仕様が奢られているインターメカニカ。オーディオの左右にあるのはパワーウインドウのスイッチだ。身体が不自由なオーナーがクラシックカーに乗る場合、すでにある程度モダナイズされているレプリカは魅力的な選択肢といえる。

 エンジンはVWの空冷水平対向4気筒で排気量は1600cc、一発始動するコンディションをキープしている。4輪ディスクブレーキを備え、安全面でも不安なし。

 このようにして、乗り降り、運転、もろもろの操作を万全に行える状態にカスタムし、十分に練習して慣れてから、ついに念願の356ロードスターで公道を走れるようになったのだった。

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