エンジンの部品の中でも重要な役割を果たす部品
エンジンを構成する部品のなかでも、比較的交換頻度の高い部類に入るものとしてスパークプラグが挙げられる。そもそもスパークプラグの役目や交換時期など、あらためていまさら聞けない点火プラグについて説明紹介しよう。
スパークプラグとは? 基本を解説
スパークプラグとはシリンダー頭頂部に装着され、送り込まれた混合気に点火するためのパーツ。100円ライターに例えれば火をつける際に火花を飛ばす部分といえばわかりやすいだろう。構造はおもにハウジング、電極、碍子の3つで構成されており、頭頂部にはプラグコードやダイレクトイグニッションといった電力を供給するものに接続される。
また、要となる電極部分には白金やイリジウムといった素材が使われており、点火する力をアップさせたり、耐久性を向上させたりするものが多く存在する。プラチナプラグやイリジウムプラグと呼ばれるものは、こうした電極に使われる素材や構造が従来のものと異なるのが特徴だ。
プラグの見た目でもっとも特徴的なのが碍子部分だ。中央部の白い部分がそれで、高電圧を入力するターミナルから中軸、中心電極とハウジングの間を絶縁。電圧が電極以外に逃げるのを防ぐ役割を果たす。この碍子とハウジング間を密着させ、気密性を維持するのがリングと呼ばれる部品になる。
そしてターミナルで受けた高電圧は、中軸(ステム)と呼ばれる中心軸を通り電極へと送られる。おもに素材は鉄鋼材で、ターミナルからの電流をロス無く中心電極に流す。そして碍子の外側を取り巻くようにねじ切りがされている部分がハウジングと呼ばれ、碍子の支持と、プラグをエンジンに取り付ける役割をもつ。
ハウジング下側は接地電極を有し、エンジン本体を通じて電流が流れるような構造とし、中心電極との間にギャップを形成する。このハウジングとエンジンを密着させるためにガスケットが備わり、シリンダーの気密性を高める役割を果たしている。火花が飛ぶプラグの要になる部分が中心電極。そして、この中心電極から飛んだ火花を受け止めるのが接地電極と呼ばれる。
スパークプラグの交換って必要?
スパークプラグは消耗品であり、走行距離を重ねたら必ず交換しておきたい部品だ。劣化したスパークプラグを交換することで、ガソリンの完全燃焼を促し、エンジン回転のバラつきを抑えるほか、アイドリングの安定やスムースな加速、燃費の向上などが期待できるのだ。
基本的には整備の段階で交換するものであり、車検時にチェックされることはない。スパークプラグの交換時期については基本的に普通車で約2万kmと言われているが、プラチナプラグやイリジウムプラグといった長寿命タイプであれば、約10万km程度での交換が指定されているものもある。
交換時には少し割高となるこうした高性能プラグであっても、交換サイクルが長くなるのであれば積極的にチョイスしたい。また、交換作業がかなり手間のかかる水平対向エンジン搭載車などには、もともと純正で長寿命のプラチナプラグやイリジウムプラグが採用されていることもある。そのため、まずは愛車のプラグの種類などをチェックしておきたい。
具体的にプラグが劣化した場合の症状だが、まずは燃費が悪くなった場合。正常時と比べ正しく燃焼しないことで燃費が悪化する。ただ、燃費に関してはタイヤ空気圧やエアクリーナーの劣化など、さまざまな要因も考えられるので、それだけで判断するのは難しいので気をつけたい。
ほかにはアイドリング時の不調が挙げられる。アイドリング中にエンジンの振動が大きかったり、止まりそうになったりするなどの症状が現れた場合も、プラグの劣化が考えられる。もちろん走行時に加速しにくくなる症状もプラグの可能性があるので、こうした症状が出たらぜひ点検しておきたい。
ちなみに普通車では約2万kmとされておりプラグ交換も、 軽自動車は約1万kmで交換が推奨されるモデルも多いので注意しておきたい。
ちなみに軽自動車の交換サイクルが早い理由についてだが、普通車に比べアンダーパワーで高回転を維持して走行するケースが多いのが理由とされている。高回転であるということは、スパークプラグに高電圧をかける回数が多いということになる。
その回数が多ければ、それだけスパークプラグは劣化が早まっていく。結果的に、軽自動車は普通車よりも摩耗が早く、マメな点検が必要となる。つまり、こうした高回転を維持して走る機会の多いユーザーは、普通車でも早めの交換をしておきたい。