カッコいいデザインは憧れの存在だった
クルマの顔とも言うべきがフロントまわり。精悍だったり、ファニーだったりと、キャラクターや印象を決める重要なポイントだ。さらにその中心にあるのが、エンブレムである。日本車の場合、車種別に設定されることが多く、例えばクラウンなら王冠をモチーフにしていたり、スカイラインは頭文字のSをうまくアレンジしたものだったりと、デザイナーが腕を奮った、逸品と言えるデザインや作りとなるものが多い。
車種の代名詞ともいえるマークもなくなっている……
この車種別エンブレムが最近、減ってきている。例えばハリアーだ。ハリアーといえば、初代から専用エンブレムはかなり象徴的。車名の由来である「チュウヒ」と呼ばれるタカの一種をモチーフにしたものが、フロントに付けられていてアイデンティティでもあった。ハリアーの特徴といえば、フロントのエンブレムが思い浮かぶ方も多いのではないだろうか。
それが現行型ではトヨタのコーポレートマークへと変更されていて、登場時には「なぜやめてしまったのか!?」と、批判的な意見もあったほど。実際に見てみるとダメというわけではないが、今までの伝統が途絶えた気がして、少々寂しい気がするのは確かだ。開発陣やデザイナーのなかでもかなり熱い議論が戦わされたようだが、結局、押し切られる形でトヨタのマークになったという。
一方で、最近出たばかりのカローラクロスのフロントには、現代流にアレンジされているが、Cをモチーフにしたエンブレムが付いている。こちらも関係者に聞いたところでは、コーポレートマークにするという意見もあったそう。しかし、さすがにカローラというビッグネームだけに、車種別エンブレムになったという。ただし、海外仕様はトヨタマークとなる。