ノーマルエンジンのワーゲンでもレースを楽しめる
ドラッグレースはエンジンの排気量やタイヤの選択、タイムによってクラスが細かく分かれていて、なるべく自分のクルマと近いコンディションのライバルたちとタイムを競うことができる。
ドラッグレースに特化したナンバーなしのレースマシンで頂点を目指す人もいれば、ナンバー付きの公道仕様でどこまで速く走れるかを追求するストリート派もいる。
面白いのは、タイムの絶対値を競うクラスだけでなく、「ダイヤルイン」と呼ばれるクラスもあることだ。このクラスでは、事前に自分のクルマの目標タイムを申告しておいて、その申告タイムにより近いタイムで走った人が勝者となる。申告タイムよりも早いと「ブレイクアウト」、失格となる。
スムースで正確な操作が要求され、パワーではなくテクニックがモノを言う。たとえば1200ccのノーマルエンジンを積んだ「普通」のワーゲンでも、2000cc以上まで排気量アップしたマシンに勝てる可能性があるのが醍醐味だ。
実際、この日のレースにも普段乗りのワーゲンが多数参加。自分のクルマがどれほどのポテンシャルを持っているのか、無理せず安全な環境で試していた。なかには70歳を超えたオーナーもいたほどだ。
本気のレースマシンからデイリーカーまで、スタイルも多彩
では、この日のVWドラッグレースを走ったワーゲンのなかから、各クラスのウィナーの姿をお届けしよう。
一番人気で参加台数最多の「ダイヤルイン」クラスで優勝したのは、VWの老舗ショップ「FLAT4」からエントリーした田村選手の運転する1967年式ビートル、通称「ロクナナ」。2180ccにボアアップしたエンジンでスムースに走った。
タイムを競うクラスのなかでエントリー部門となる「ストリートトライアル1」の勝者は、太田選手のタイプ3バリアント。ご覧の通りステーションワゴン型で、ファミリーカーとして人気のあるモデルだ。走行タイムは11.953秒。
山崎選手のビートルは、「ストリートトライアル2」クラスで9.810秒のタイムで優勝。さらに、最後に各クラスのウィナーが集まって「ダイヤルイン」と同じ申告タイム型式で勝負する「トップエリミネーター」でも優勝し、この日のチャンピオンに輝いた。
2トーンでキュートな見た目の高崎選手のビートルは8.825秒で、「ストリートトライアル3」のウィナーに。
「ストリートコンプ」クラスからはスリックタイヤの着用が認められる。8.664秒でこのクラスを制したのは森泉選手のビートルだ。
これはVWのシャシーにイタリアでデザインされたボディをまとう「カルマンギア」というクーペ。滝本選手がドライブし、8.250秒のタイムで「プロガス」クラスの勝者に。
中野選手の1956年式ビートルは「プロコンプ」クラスを7.630秒で疾走し勝利。さらに、この日のストリートカー最速の栄冠にも輝いた。
一番上の「プロモディファイ」クラスにて7.424秒というタイムでウィナーとなったのは藤田選手。昨年完成した、完全に本気のレースマシンだ。
画像ギャラリーにこの日の写真を大量にアップしてあるので、ご覧いただきたい。また、ドラッグレースの詳しいルールや参加方法については「staginglane.net」のHPを訪れてみることをお勧めする。