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マニアでも知らない「トヨタ・ダイナリノ」に「ダイハツ・セニア」! 日本より日本車比率が多い「インドネシア」で見つけた「ガラパゴス日の丸カー」

新車の日本車シェアは96.6%! 日本より国産車が売れている

 成田から飛行機で8時間。赤道直下にあるインドネシアは人口が日本の約2倍、面積では5倍にもなる、東南アジアで最大の国。デヴィ夫人でおなじみのスカルノ大統領時代からインドネシアには多くの日本企業が進出していて工場も多数あり、世界で一番、親日感情が強い国といわれている。

 経済成長いちじるしく、自動車の年間新車販売台数はここ数年ずっと100万台以上で伸びてきている(2020年はコロナ禍で半減して53万台)。しかも自動車マーケットは日本ブランドのほぼ独占状態で、シェア順にトヨタ、ダイハツ、ホンダ、スズキ、三菱……と続き、新車販売台数の日本車のシェアが2020年で96.6%! 日本よりも日本車の比率が高い国なのだ。

 首都ジャカルタを訪れたときのスナップ写真とともに、インドネシアのクルマ事情を見てみよう。

日本で売っていない東南アジアだけの日本車も多数

 ジャカルタの名物、メガ渋滞。そこにハマると見わたす限り日本車ばかりだが、バッジはおなじみでも、日本では見かけないモデルも多い。写真で目の前にいるクルマとその右のクルマは、トヨタとダイハツがインドネシアで共同開発した「トヨタ・アバンザ」(ダイハツ版は「セニア」)。

「アバンザ」は7人乗りのコンパクトSUVで、経済成長とともに「マイカー」の需要が急成長しているインドネシアや東南アジア諸国では、1台でファミリーカーとして全てこなせてコスパに優れた、このタイプのクルマが近年で一番の売れ筋だ。オフィス街でも2台の「アバンザ」が並んでいる光景があった。

 たとえば三菱が2017年に発売したMPV「エクスパンダー」は、全長4475×全幅1750×全高1700mmとコンパクトながら3列シートの7人乗りで、不整地も多いため最低地上高は200mmを確保。インドネシアで製造し、東南アジア各国で販売して2019年には年間なんと11万台を売り上げている大ヒット作。ダイハツやスズキも、同様のライバルを投入している。

4輪と3輪と2輪がごった返す雑踏

 東南アジアといえば「トゥクトゥク」を思い浮かべる人も多いはず。インドネシアでは同様の3輪車が「バジャイ」と呼ばれ、タイのトゥクトゥクよりも小さいサイズで運転席1名+後席2名乗車。バジャイのタクシーが大量に走り回っている。

 さらにバイクも多く、渋滞の隙間を縫うように駆け抜けていく。クルマとバジャイとバイクが「あうんの呼吸」でひしめいていて、挨拶がわりにクラクションが頻繁に鳴りひびく。結構怖い。とはいえ幸か不幸か、インドネシアでは国際運転免許証が使えないので、外国人の旅行者が現地でクルマを運転することはないのでご安心を。

 もしどうしてもインドネシアだけのクルマを運転したければ、現地で運転免許の試験を受ける必要があるが、すべてインドネシア語なので難易度はスーパーハードだ。

「はたらくクルマ」は国産車の「生きた化石」が現役で活躍中

 当然、日本車がほとんどのインドネシアゆえ、「国産旧車」も大量にあふれている。とくに「はたらくクルマ」では、日本ではもうほとんど見かけることのない旧車が、当たり前のようにバリバリ活躍している。

 写真の赤いトラックはトヨタの4代目「トヨエース」そっくりだが、よーく見るとヘッドライトが丸目の4灯ではなく角目2灯。じつは4代目トヨエースは1984年からインドネシアで「トヨタ・ダイナリノ」という名前で製造・販売されるようになり、日本ではモデルチェンジしたあともずっと継続されている。途中でフロントフェイスだけマイナーチェンジしながら、2002年まで生産されていたのだ。

 もっと長寿な「生きた化石」が、日本では1979年から1994年まで販売されていた三菱の2代目「デリカトラック」の海外版「L300」だ。インドネシアでは「コルトL300」の名前で生産されていて、なんと現在も「新車」として販売されている超ロングセラーなのである。

 なおフィリピンでも「L300」が現地生産されていて、2017年に排ガス規制に対応できなくなり一旦生産終了となったものの、新エンジンを搭載して2019年に復活。こちらも現役で「新車」が生産され続けている。

 トヨタ「キジャン」もフィリピンとインドネシアで製造販売されたクルマで、初代は1976年に誕生。ジャカルタの街角で出会ったのは1981~86年の2代目でバン仕様だった。

 国産車メーカーを語るとき、ついつい日本と欧米のマーケットだけで見てしまいがちだが、東南アジア市場も各メーカーにとって非常に大きな存在となっている。インドネシアやタイ、マレーシアなどを訪れる機会があれば、見覚えがあるようで少し違う「日本車」の数々に出会うことができるのだ。

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