かつて存在した「デートカーとしてのクーペ」市場
今では信じられないことだが、平成ごく初期のバブル崩壊あたりまでは日本車に「クーペのデートカー」というジャンルがあった。その代表は2、3代目のホンダ・プレリュードや日産シルビア(S13)で、その横綱的存在がトヨタの初代、2代目のソアラだった。という背景もあり、ここではオーナーだったこともある筆者が2代目ソアラというクルマを振り返ってみたい。
まさに「未体験ゾーン」だった高性能
まず、初代から3代目までのソアラのポジションは、「トヨタが市販化できる技術をすべて盛り込んだイメージリーダーカー」である。とくに1981年登場の初代ソアラは、当時日本車が1970年代のオイルショックや排ガス規制強化の後遺症による動力性能の低下から立ち直り始めていた時代に、当時日本最強の2.8L直6DOHCエンジンの搭載や気品ある内外装などを理由に、高価なクルマながら成功を収めた。
ソアラは実際に所有するとどんなクルマだったのか
ときは流れて筆者は確か20歳だった2000年に、2代目ソアラを自分のものにした。当時は現在ネオクラシックとなっているほかの日本車同様、2代目ソアラもおおよそ10年選手だったこともあり気軽に買える値段で、確か個人売買で10万円だったと記憶している。
思い出すと2代目ソアラは当時で10年選手だったが、筆者の幼少期のイメージそのままだった。また2代目ソアラに乗っている時間は、インテリアなどすべてが妙に落ち着けるクルマだったこともあり、至福の時間だった。
今後こんな贅沢な国産クーペは出てこない?
今後2代目ソアラのような、5ナンバーサイズはオーバーにしても手ごろなサイズで、価格は500万円くらいまでとなる現実的な価格のラグジュアリーな2ドアクーペが登場することはまずないだろう。
しかし、この点は必ずしも嘆くことではなく、平成初期までのソアラやマーク2三兄弟のポジション、すなわち「手が届く贅沢」のようなコンセプトが形こそ違うにせよ、ハリアーやアルファード、ランドクルーザープラドといったトヨタ車に引き継がれていることは、ソアラファンとして喜ぶべきことと感じている。