決勝でも「ネクセンショック」は続く
しかし、「ネクセンショック」は、決勝レースでさらに加速した。レース1のスタートは失敗気味で、オープニングラップのうちに4番手まで落ちた岡本選手。だが、そのままズルズルと行かずに、前の2台に食らいついて離れず、周を重ねるごと後続を振り切っていたからだ。トップの青木選手だけは逃がしたものの、3台で激しく競われた2番手争いは、このレースのハイライトにもなった。
中盤に入ると、目の前にいる川合孝汰選手に仕掛け始めたほどだったのだが……。10周目に差し掛かって、岡本選手の「N Fera R 86」が突然スローダウン。ストレート脇にマシンを止める。原因はドライブシャフトの破損だった。
「序盤は我慢の展開でしたが、中盤からのペースは僕の方が良かったので、チャンスありと思っていたんですが。でも、トップの青木選手、ペースを抑えていたんですか? え、そうじゃない。じゃあレース2、僕行けるかも!」と語っていた岡本選手。ネクセンタイヤがもっとも得意とするのは一発の速さより、むしろロングライフ。タイヤ1セットで予選と2レースを賄わなければならないレースだからこそ、自信ありというわけだ。
レース2も奮闘を続け見事表彰台に上がる
そして、その言葉が現実のものとなる。レース2ではポジションキープから戦闘を開始し、2周目には5番手に浮上。次の周にはトップグループの背後につけたのも束の間、躊躇なくまた1台をかわしていく。7周目には谷口信輝選手を抜き、それだけでもトピックス級だが、ついに「N Fera R 86」の岡本選手は3番手にまで上り詰めるまでに。
さらに岡本選手はレース1のウィナーでもある青木選手にも迫り、13周目の1コーナーでいったん前に出るも、3コーナーで抜き返されてしまう。「ネクセンタイヤもすごかったですね。表彰台がかかっているから、無理はしないだろうと思っていて、実際、多少の接触はあったけど、2台並んでもアウト側はギリギリ自分のスペース残した感じで走ってくれたので、とてもフェアなバトルで楽しかったです」と岡本選手の走りも、青木選手は高く評価した。
ゴール前のストレートで並びかけるも、コンマ1秒及ばず「N Fera R 86」の岡本選手は3位となったが、GR 86/BRZ Raceにおいては初めての表彰台を獲得! ネクセンタイヤにとっても、新たな歴史の第一歩となった。
「やっと戦えるようになって、良かったです。序盤は我慢だったんですが、そこを耐えられたのが効きましたね。スタートは悪かったんですが、ポジションキープできたし、後半の勢いはわれながら良かったと思います。ただ、ペース的にトップの人には届かなかったので、そこだけ悔しいなって(笑)。最終戦の富士がまだあるので、また頑張りたいと思います」と岡本選手。表彰台に上がってなお、悔しいと語るあたりに感じられる進化。ネクセンタイヤと岡本選手の最終戦に、期待せずにはいられない!