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TGR 86/BRZレースで3位表彰台をゲット! ライバルも驚いたネクセンタイヤの「速さの秘密」とは

TGR 86/BRZ Race第7戦で3位入賞したネクセンレーシング

 レベルの高さに定評があり、かつ大人気のワンメイクレース「TGR 86/BRZ Raceプロフェッショナルシリーズ」において、ネクセンタイヤを装着する岡本大地選手が、十勝スピードウェイで開催された第7戦で3位入賞を果たした。同シリーズで韓国製タイヤ装着ドライバーが、表彰台に立つのは初めてとなる。

SUGO戦で待望の2021スペックを投入したネクセンタイヤ

 近ごろ「TGR 86/BRZ Raceプロフェッショナルシリーズ」で話題となっているのが、ネクセンのタイヤ「N Fera Sport R(エヌフィラ スポーツアール)」である。岡本大地選手のドライブにより、第2戦富士で5位入賞を果たし、このときは上位にペナルティが相次ぐという幸運もあったが、その後も予選ではコンスタントに上位につけるようになっているからだ。第4戦SUGOからは2021スペックが投入され、よりレースに適したコンパウンドならびに構造も変更されたからなおのこと。どのチームかは明かされていないが、すでにテストした複数のチームがあるという。 そして迎えた十勝大会。本来は8月末に開催される予定だったが、コロナ禍によって延期され、10月30〜31日に行われることとなった。ただでさえ、年に一度の大会である上に例年なら夏場の、北海道としてはもっともさわやかな時期に行われてきたレースである。当然、チームのみならず、タイヤメーカーにとってもデータは皆無にも等しい。そういった意味では、他メーカーに対してハンデが極めて少なくなるため、ネクセンタイヤ陣営としては内心必勝を期するところがあったのは、偽らざる事実でもあった。

いきなりトップに浮上したN Fera Sport R 86

 上空には雲ひとつ見当たらない、快晴のもとで予選が行われた。このレースではウォームアップもそこそこに早速アタックが行われ、2レース開催の場合はさらにもう1周というのがセオリーだが、いきなり衝撃が走った。なんと「N Fera Sport R 86」の岡本選手がトップに浮上したからだ! プロ中のプロであるドライバーたちを持ってしても、そのタイムはしばらく破られず。終了間際になって、ようやく青木孝行選手の逆転を許したものの、それでも2番手はベストリザルト。レース2のグリッドを決めるセカンドベストタイムでも、岡本選手は5番手につけていた。

「しっかりスリップストリーム使えたのは良かったんですけど、練習でもこんなタイム出ていなくて、なんでこんなに伸びたのか解析していこうと思っています。次の富士でも再現しなければいけないので、これからしっかりデータを検証します。内圧とか温め方とか、細かいことはやっていたんですけど、それでこんなに伸びるんだってびっくりするところではありますね」と岡本選手は正直な胸の内を明らかに。

決勝でも「ネクセンショック」は続く

 しかし、「ネクセンショック」は、決勝レースでさらに加速した。レース1のスタートは失敗気味で、オープニングラップのうちに4番手まで落ちた岡本選手。だが、そのままズルズルと行かずに、前の2台に食らいついて離れず、周を重ねるごと後続を振り切っていたからだ。トップの青木選手だけは逃がしたものの、3台で激しく競われた2番手争いは、このレースのハイライトにもなった。

 中盤に入ると、目の前にいる川合孝汰選手に仕掛け始めたほどだったのだが……。10周目に差し掛かって、岡本選手の「N Fera R 86」が突然スローダウン。ストレート脇にマシンを止める。原因はドライブシャフトの破損だった。

「序盤は我慢の展開でしたが、中盤からのペースは僕の方が良かったので、チャンスありと思っていたんですが。でも、トップの青木選手、ペースを抑えていたんですか? え、そうじゃない。じゃあレース2、僕行けるかも!」と語っていた岡本選手。ネクセンタイヤがもっとも得意とするのは一発の速さより、むしろロングライフ。タイヤ1セットで予選と2レースを賄わなければならないレースだからこそ、自信ありというわけだ。

レース2も奮闘を続け見事表彰台に上がる

 そして、その言葉が現実のものとなる。レース2ではポジションキープから戦闘を開始し、2周目には5番手に浮上。次の周にはトップグループの背後につけたのも束の間、躊躇なくまた1台をかわしていく。7周目には谷口信輝選手を抜き、それだけでもトピックス級だが、ついに「N Fera R 86」の岡本選手は3番手にまで上り詰めるまでに。

 さらに岡本選手はレース1のウィナーでもある青木選手にも迫り、13周目の1コーナーでいったん前に出るも、3コーナーで抜き返されてしまう。「ネクセンタイヤもすごかったですね。表彰台がかかっているから、無理はしないだろうと思っていて、実際、多少の接触はあったけど、2台並んでもアウト側はギリギリ自分のスペース残した感じで走ってくれたので、とてもフェアなバトルで楽しかったです」と岡本選手の走りも、青木選手は高く評価した。

 ゴール前のストレートで並びかけるも、コンマ1秒及ばず「N Fera R 86」の岡本選手は3位となったが、GR 86/BRZ Raceにおいては初めての表彰台を獲得! ネクセンタイヤにとっても、新たな歴史の第一歩となった。

「やっと戦えるようになって、良かったです。序盤は我慢だったんですが、そこを耐えられたのが効きましたね。スタートは悪かったんですが、ポジションキープできたし、後半の勢いはわれながら良かったと思います。ただ、ペース的にトップの人には届かなかったので、そこだけ悔しいなって(笑)。最終戦の富士がまだあるので、また頑張りたいと思います」と岡本選手。表彰台に上がってなお、悔しいと語るあたりに感じられる進化。ネクセンタイヤと岡本選手の最終戦に、期待せずにはいられない!

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