アスコットを流麗にスタイリングした4ドアハードトップとして登場!
1989年9月にアコードに代わって登場したのが、プリモ店専売のアスコット。4代目アコードの姉妹車として、6ライトウインドウの端正なスタイリングでデビューした。
流麗なエクステリアが自慢のプリモ店のフラッグシップ
イノーバは革新的を意味するイノベーションから用いられたネーミングが与えられた。ホンダの代表格である、シビックや軽自動車をおもに取り扱っていたプリモ店のフラッグシップモデルとして、意欲的に作られたモデルであった。
実用性も兼ね備えたスタイリッシュなフォルムが最大の魅力
インテリアもサッシュレスを最大限に活かすように、乗員の肩から上の空間をゆったりと、肩から下の空間は適度にタイトに包み込むように仕立てられ、セダンとハードトップが融合したような居心地の良さを作り上げていた。
上質さを高めた2.3Lエンジン搭載モデルもラインアップ
エンジンは2L直4SOHC(F20A型16バルブ)がボア×ストローク85.0×88.0mmのロングストロークながら最高出力135ps/5400rpm、最大トルク18.5kg-m/4300rpmというスペック。可変デュアル吸気マニホールドを採用して充填効率を高めた、2L直4DOHC(F20A型16バルブ)は同150ps/6100rpm、同19.0kg-m/5000rpmを発揮させた。
熟成させたサスペンションによってスポーティな乗り味としなやかさ両立
初代アスコットから受け継がれた、軽量で高剛性のボディに組み合わされるサスペンションも、熟成のホンダのダブルウィッシュボーン式で、イノーバ用に前輪のスプリングのバネレートを20%アップ。ダンパーの減衰力を伸び側で17%下げて、縮み側を37%アップ。後輪もバネレートを11%アップ、ダンパーの伸び側縮み側とも15%ダウンさせており、余裕あるサスストロークを確保しながらもしなやかで引き締まった足まわりとしていた。
商品力はピカイチながら同門のライバルが仇となり販売は振るわず……
このイノーバが難しいポジションだったのは、わずか1年後の1993年10月に背の高いハイト系となった2代目アスコット&ベルノ店用のラファーガが登場したこと。イノーバも1994年にマイナーチェンジを受けるものの、3ナンバー車の人気はホンダとしてはインスパイアであり、さらにアコードの人気は依然として高く、イノーバは魅力的なスタイリングと優れた実用性ながら、プリモ店扱いのクルマのなかでは高価格帯ということもあって(155.8~295.6万円)、一代限りで終焉を迎える。
■ホンダ・アスコット イノーバ2.3Si-Z(CC5型)
〇全長×全幅×全高:4670mm×1715mm×1380mm
〇ホイールベース:2720mm
〇トレッド 前/後:1475mm/1480mm
〇車両重量:1360kg
〇乗車定員:5名
〇最小回転半径:5.5m
〇室内長×室内幅×室内高:1975mm×1395mm×1140mm(サンルーフ付きは1070mm)
〇エンジン:H23A型直4DOHC16バルブ
〇総排気量:2258cc
〇最高出力:165ps/5800rpm
〇最大トルク:21.5kg-m/4500rpm
〇サスペンション 前後:ダブルウィッシュボーン式
〇ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
〇タイヤサイズ 前後:195/60R15
〇車両本体価格:295万6000円(東京地区販売価格)