最新EV「マスタング・マッハE GT」と同じモーターを搭載
じつはこの「F-100エルミネーター・コンセプト」に搭載されている駆動モーターは、2020年秋に発表されたフル電動SUV「フォード・マスタング・マッハE」に搭載されているのと同じものだ。さらに今年夏に追加されたハイパフォーマンス版「マスタング・マッハE GT」は同型モーターをふたつ搭載していて、その「GT」のパワートレインをピックアップトラックに移植してチューンした、というわけだ。
フォード「Eクレート・モーター」はカスタムや旧車用に単体販売
フォードの担当者はこう語る。「創業以来、フォード車のオーナーたちはルックスの変更からパワーアップまで、個人でクルマをカスタムしてきました。お客さまのオール電気化をサポートし、当社の伝統的なクルマであってもEV化する方法があるという提案が、この“F-100エルミネーター”なのです」
今回使われたモーターは「Eクレート・モーター」との名前で、全米のディーラーで販売されるとのこと。この名は、ガソリン車のエンジンがかつて木箱(crate)に入って単体販売され、「クレート・エンジン」と呼ばれていたことに由来している。
このモーターは1基で最高出力281ps、最大トルク43.8kg-mで、アメリカ50州で公道走行可能な認証を取得済だ。価格は1基あたり3900ドル(約44万円)。
今後もフォードはバッテリーシステムやコントローラー、駆動インバーターなど、EVのためのさまざまなコンポーネントを開発して、アフターマーケットに提供していく予定だという。
残念ながら日本では2016年にフォードが撤退してしまい、現在はクルマの正規輸入が行われていない。だが、カスタムや旧車のEVコンバートの需要が高まれば、「Eクレート・モーター」単体なら輸入される可能性はゼロではない。
クラシックカーをEV化して乗り続けるための選択肢は、今後フォードのほかにもさまざまなメーカーから提供されそうである。