SUVなのに意外と荷物が入らなかったモデルを振り返る
SUV、クロスオーバーSUVと言えば、冒険、アウトドア、レジャーに最適なクルマだ。だから荷物もたっぷり積めて当然……と考えるのが普通だ。例えば、比較的新しい5ナンバーサイズのクロスオーバーSUVのトヨタ・ライズ、ダイハツ・ロッキーの兄弟車のラゲッジルームは奥行き755mm、幅1000mm、高さ865mm。床下全体が深い80Lものアンダートランクになっていて、全体では449Lもの収納力がある。まさに着やせカーである。
ところが、かつてのSUVやクロスオーバーSUVのなかには、意外なほどラゲッジルームが狭かったクルマがあったのだ。トヨタ・ライズ、ダイハツ・ロッキーを見るとわかるように、クルマの基本性能とともに、パッケージも今では大きく進化しているということだ。
では、過去にあったSUVやクロスオーバーSUVのなかで、ラゲッジルームの寸法、それも積載力に大きく影響する奥行を含めた寸法で物足りなさがあったクルマを掘り起こしたい。
スズキ3代目エスクード
当時のライバルとしてはCR-V、RAV4などがいたのだが、ラゲッジルームの奥行きはCR-Vが960mm、RAV4が770mmだった。だが、エスクードは710mmでしかなく、幅方向はそれぞれ1000mm以上あったものの、奥行き不足だったことは否めない。
日産ジューク
スタイリッシュさで勝負した日産ジュークの初代も厳しい。当時のライバルとしては三菱RVRなどがいたのだが、ラゲッジルームの奥行きはRVRが820mmと立派だったのに対して、ジュークは670mmしかない。
幅方向はほぼ同等ながら、荷物の積載性では「デザイン優先だから」と諦めざるを得なかったと記憶している。
三菱4代目パジェロ(ショート)
今では惜しまれつつ消滅した三菱パジェロ。
イメージとしては大きく立派なボディサイズを持ち、ラゲッジルームも広々……という感じだが(合っている)、じつはロングボディに対するショートボディの車種もあった。例えば2006年デビューの4代目でも、ショートボディのラゲッジルームの奥行きは470mmでしかなかったのである(ロングは980mm)。
ホンダ2代目クロスロード
ところで、ホンダ・クロスロードというクルマを覚えているだろうか。ここでは2代目の純ホンダ製のクロスロードについてなのだが、2代目ストリームをベースに開発された、2006年当時のCR-Vが上級移行したため、2007年に補充されたホンダのコンパクトクロスオーバーモデルであった。
全長4285×全幅1755×全高1670mmのボディに、3列7人乗りのシートレイアウトを詰め込んだのはいいものの、3列シート使用時のラゲッジスペースの奥行きはあってないような、目が点になる115mm。3列目席を格納すれば895mmまで拡大するとはいえ、当時、3列目を使った状態でバックドアを開けた際、その狭さにびっくりした覚えがある。
115mmの奥行きはもしかすると世界最小ではないだろうか(ラゲッジスペースがないに等しいホンダS660だって奥行きは170mmあった)。軽自動車だって後席スライド位置後端で300mm前後はあるのに、である。
とはいえ、今買える新車では、荷物の積載に困り果てるようなクルマは、ごく一部の(というか特殊な)軽自動車を除いてあり得ないから、安心していただきたい。まぁ、その分、クルマがどんどん肥大しているとも言えるんですけどね。