車中泊やキャンプで使える純正OPパーツ充実のミニバンが台頭
そして、キャンピングカー不用説を唱える大きな理由の筆頭が「ミニバンの進化」である。ひと昔前までの「ワンボックスカー」と呼ばれていた時代は、ボディが剥き出しのままの内装や簡易的な肉薄のリヤシートなど、ムダな装備を徹底的に削ぎ落として仕事用に特化した「商用車」がほとんどであった。 乗用車登録されるモデルも少ないながらに存在したが、それは商用車をベースに少しばかり内装を豪華にしたモデルにすぎず、決して魅力的な存在ではなかった。しかし、キャンプや車中泊がポピュラーな存在となり「趣味」のひとつとして認知された今、自動車メーカーは企画や設計の段階から車内での宿泊やキャンプでの使い勝手に適した装備を盛り込むようになった。 豪華な装備に加え、シートアレンジによるフルフラットベッドの装備や豊富な電源(コンセントやUSBポート)、オプションパーツの充実、消費電力の小さいLEDルームランプなど、車中泊を考慮した設計により限りなくキャンピングカーに近い贅沢さが味わえるようになっている。もちろん、一般的な乗用車であるために炊飯設備や給排水設備などは用意されていない。だが、前項にも記したようにオートキャンプ場を使用しBBQコンロや焚き火台で調理をし、常設の洗い場を使うキャンパーなら問題はないはずだ。
アウトドアやキャンプを満喫できる車中泊に便利なモデルとは?
わずかばかりの税金の優遇のために8ナンバー登録のキャンピングカーを手に入れるのなら、市販のミニバンや軽ワンボックス、シートアレンジが豊富なファミリーカーで車中泊を楽しむ方がお得感は大きいことになる。では、「車中泊」に向いているクルマにはどんなモデルが適しているのだろうか? トヨタ・ハイエースや日産NV350キャラバンはキャンピングカーのベース車両としても人気が高いだけに、ベッドキットやダイネットなどのアフターパーツが豊富に用意され、自分のセンスでDIYも楽しむことができる。
また、軽自動車ならばN-BOXやN-VANだけでなく、ダイハツ・ウェイク、スズキ・エブリイもおすすめだ。小型乗用車ならば日産セレナやNV200(バネット)、トヨタ・シエンタ、ホンダ・フリード+などの人気が高く、日常と非日常を一台二役で両立することが可能だ。ハイブリッドモデルを選べばエコカー減税の対象となるので、税金面でも大きなアドバンテージになる。
【まとめ】ライフスタイルが多様化するなかで自分に合ったクルマ選びが大切
全国各地を旅する人や、サーフィン/ロードバイク/MTB/釣り/レースなどの特化した趣味の相棒として使うのなら、ベース基地となるキャンピングカーは大きな味方になるに違いない。しかし、日帰りや1泊、2泊3日程度の日程をオートキャンプ場で過ごす一般的なキャンパーにとって、8ナンバー登録のキャンピングカーを持つメリットは決して大きくはない。 クルマが進化を遂げ、快適な車中泊が楽しめるようになった今、「キャンプ=キャンピングカー」ではなく自分にとってどのクルマが最適なのかを熟考する時期を迎えている。市場には車中泊に適した魅力的なクルマが数多く存在しているのだから……。