多種多様な派生モデルも誕生
66年の発売当初、N360はモノグレードでした。ラジオはオプションでしたが、ライバルのスタンダードに比べると充分な豪華装備を持ちながら31.3万円という廉価な価格設定。発売から4カ月後には、スバル360から販売トップの座を奪っています。 そして年末に豪華グレードのMタイプが登場したのを皮切りに、スポーティなSタイプ、その両方の装備を併せ持つGタイプ、といくつものグレードが登場することになりました。 N360のハイパワーに対抗して勃発したパワーウォーズには、ツインキャブを備えたTタイプが登場。36psの最高出力で、ついに100ps/Lを実現することになりました。
ライトバンのLN360やキャブオーバートラックのTN360など“働くクルマ”も登場し、Nシリーズのバリエーションは一層充実していきます。オートマチック・トランスミッションを搭載したN360ATや、キャンバストップを備えたN360サンルーフなども人気を呼んでいました。
1969年には初のマイナーチェンジが施され、通称“NⅡ”と呼ばれるモデルへと移行しています。このマイナーチェンジは内装の変更がメインで外観での際はごくわずかでしたが、翌1970年のマイナーチェンジではフロント部分に大きく手が加えられ、車名もNⅢ360となっています。 また輸出用にオーバーサイズのピストンとストロークを伸ばしたクランクを組み込んだN600が登場し、68年にはN600Eの名で国内にも投入されていました。 Nシリーズの派生モデルとして、ハッチバック・クーペのホンダZも現れました。 またTN360をベースにしたスケルトン・ボディのホンダ・バモスも忘れることができませんが、これらに関してはまた機会をあらためて紹介することにしましょう。