安全かつ正確な運転のために重視したいアイテム
つねに身体と接している操作系のパーツ。ステアリングとシフトノブをはじめ、シートやペダルなど数多くあるなかで、とくに重要といわれるのが『シート』だ。とはいってもレースでお馴染みのリクライニングしないフルバケットから、角度の調整ができ後席への乗り降りもしやすいセミバケット、疲労軽減や快適性を最優先させたモデルなど、目的によって形状や機構は大きく異なっている。
運転に大きな影響をおよぼすアイテムであり、価格も決して安いといえるレベルじゃない。買ってから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、カーライフに合わせた最適なシート選びを考えてみたい。
シーン1)街乗りがメインの場合
まずは街乗りが大半で走行距離もさほど多くないユーザー。正直いって純正シートに大きな不満がない限り、あえて社外品に交換する必要はないと思われる。最近は商用車や軽自動車の廉価グレードなどを除き、純正でもクオリティの高いシートが増えているのだ。
シーン2)ワインディングをたまに走る場合
次は基本的には街乗りだが、時々ワインディングも走る人。一部には純正でもそこそこホールドするシートがあるが、強いGから身体を支え正確かつ安全に操作できるかと考えれば、やはりスポーツ走行を想定したバケットシートに分があるだろう。
普段は少しリラックスした姿勢で運転したい人や、2ドアもしくは3ドアでリヤシートも頻繁に使うなら、リクライニング機構を備えており背もたれが前倒しできる、セミバケットシートのほうが利便性は高いはず。
なかには本格的なサーキット走行にも耐えうるホールド性だったり、カーボンなど軽量な素材を採用しているモデルもあり、フルバケットとの間に昔ほどの性能差はなくなったといえる。セミバケットはストリートのみでサーキットは行かない人、たまにはサーキット走行も楽しむ人でわけるのアリだ。前者なら乗り降りしやすい型や太もものサポートがあまり大きくないモデル、後者ならホールド性を重視しフルバケットに近い形状のモデルを選びたい。
シーン3)サーキットでガンガン走りたい場合
続いてはサーキット走行がメインの層。モチロン相性がいいのはリクライニング機構を排したフルバケットで、可動部分がないため圧倒的な剛性感を誇り、軽量かつサポート部もセミバケより全体的に大きめ。ただしリクライニングしないからこその注意点もある。
イチバンは身体のサイズに合っているかどうかで、小さすぎれば窮屈で正確な操作をするのが難しいし、大きすぎれば肝心のホールド性がスポイルされてしまう。一部には座面を広げたり背もたれを高くし、体型の大きなドライバーに合わせたモデルや、逆にシートに貼り付けて隙間をなくすクッションもある。心配な人はバケットシートの現物を展示しているプロショップ、またはイベントで実際に座ってみてから選んだ方が安心だ。
長距離の高速道路移動などはフルバケがいいことも
なお近年は『ヘッドガード』と呼ばれる、頭部を保護する形状を持つシートも多いが、車検をクリアできない競技専用モデルもあるので注意しよう。以上がカーライフに対する大まかなシートの選び方。ちなみに「フルバケは身体が動かないから疲れる」と考える人もいるが、フルバケのほうが身体に力を入れて支える必要がないため、結果として長時間になるほど疲労度は低いともいえるのだ。
そのため、街乗りオンリーでも長距離を移動する機会が多ければ、バケットシートを使うのは決して間違いじゃない。休憩や仮眠の必要があれば助手席に移動すればいい話で、最近トラックに社外シートが人気なのも同じ理由だろう。