リヤサスペンションはまさかのフレーム化
出幅がコレくらいなのでノーマルの足まわりじゃ絶対にムリ、ではフレームを切った貼ったしてアーム類も作るしかない、そうなるとダンパーもマーチ用ではサイズ的に長すぎる。そこで全長の短いバイク用を使うことになったが、バイクは軽いため1本じゃ減衰力が不足するのでツイン化、車高もロッドを伸ばしたり縮めることで調整するように変更。
ホイールも同様で最初に「クレンツェのヴィシュヌでサイズは18インチ」と決め、K12マーチの純正は4穴なのでラインアップがないことから、5欠のセレナ純正ハブを丸ごとスワップすることで解決した。
マフラーにしても足まわりのレイアウトを変更したせいで、マーチ用が純正品にせよ社外品にせよ装着できなくなり、複雑に入り組んだアームとパイプフレームの隙間を縫うように配置。作り手のAさんによると「ココしか通す場所がなかったんです」という。
大半がハンドメイド! このまま海外のショーに出展しても恥ずかしくないレベル
もうひとつの大きなテーマは車検の関係で実際に公道を走ることこそないが、見た目だけじゃなく走れる能力を備えていることだ。頑強なパイプフレームや室内に張り巡らせたロールケージでボディのねじれを抑え、ツイン化したダンパーも完成後の車重から必要な減衰力を導き出した結果。このローダウンにタイヤ&ホイールでも、ステアリングは普通に切れるというから驚く。
そして大半の部品がハンドメイド。市販パーツはエアロオーバーのフロントおよびリヤのエアロ、フロントに使っているラッシュの車高調(加工済み)、海外から輸入したアルミ製のステアリングとシート程度で、他は必要に応じて手作りまたは加工している。
ボディ色は日産ではなくスズキ純正のスチールシルバーメタリック、ドア内張りにオーナーの苗字をエンボス加工、ペイントしてから室内に設置した燃料タンク、油圧式サイドブレーキによるツインキャリパー化など、このまま海外のショーに出展しても不思議じゃないレベルだ。
Aさんは「普段はクルマとまったく関係ない仕事なんです。完全な趣味だからこそ時間や手間を惜しまず、ココまで作り込めたんだと思います」と話す。とはいえ現在の姿が完成形ではない。今後はシビックなどに搭載されていたB16Aエンジンのスワップ、それに伴うフロントまわりのパイプフレーム化を計画している。情熱と技術を併せ持つプライベーターが、世界を意識してゼロから作ったK12マーチのカスタムカー。より進化した姿をイベントで目にできる日を心待ちにしたい!