セダン派にもってこいのボリュームだったラリーアート仕様も
走りのエボXがあるのに、ラリーアートまで用意するとはどういうことか? ラリーアートはややおとなしめのスポーツモデルなのだ。たとえばエンジンはどちらも同じ排気量2.0Lで4気筒ターボの4B11だが、最高出力280~313psのエボに対し、ラリーアートは240psと控えめ。ドライブトレインは4WDだが、S-AWCは非搭載とするなどランエボほど凝ってはいない。
ただ、トランスミッションは当時まだ珍しかったデュアルクラッチ(MT設定はなし)でエボXの2ペダルモデルと同様。とはいえ、こちらもギヤ比は巡行重視で制御もエボXほどまで尖らせないなど、差別化が図られている。
走りのラリーアートまで用意したギャランフォルティスとはどんなクルマだったか? 今にして思えば、時代に翻弄されたセダンそのものである。ランエボのベースとなることを前提として設計されたボディだけに剛性は高く、素性の良さが感じられた。車体サイズもCセグメントの直球で、大きすぎることなく後席居住性も良好。そのバランスは、日本で使うにも最適だった。
しかし、当時はすでにセダン離れのムードが漂っていて、セダンにスポットライトが当たる機会が激減。渾身の出来栄えだったが、その実力が正当に評価されなかったことが悔やまれる。
ちなみに、台湾ではこのモデルをベースに独自の進化を果たした「ランサー」が今なお販売されている。フロントデザインはまさかのダイナミックシールドだ。