テスト2:ジムニー/TE37 XT for J
続いてジムニーに乗り換える。今度はTE37 XT for Jを先にテストし、その後純正ホイールを履き替えた。先に述べた通り、TE37 XT for Jとわずかしか重量差はないが、果たしてどのような結果となるか?
先に加速、制動テストの結果をお知らせしよう(ランドクルーザープラドと同条件)。加速テストは純正が5.61秒、TE37 XT for Jが5.52秒。制動テストは純正が14.7秒、TE37 XT for Jが13.6秒を記録した。テスト結果を受け、井入選手は語る。
「今回純正ホイールと重さがあまり変わらなかったため、重量に関してははっきりとした違いはわかりませんでした。ただ、純正は回転する部分のリムが重く、慣性重量が大きいような印象を受けました」
「剛性感はまったく異なりましたね。制動テストでは、路面のうねりなどの入力が入ったときの収まりがTE37 XT for Jの方が良かったです。剛性があるのでたわまないのでしょう」
「スラロームでは、純正ホイールでは大きく荷重がかかるシーンでズレたというか、タイヤが倒れる挙動を見せました。路面からの入力がホイールに伝わる前にタイヤで逃げちゃうんですね。TE37 XT for Jはそのような挙動を見せなかった。ということはホイール剛性以前に、リムの形状がタイヤが倒れ込まないような工夫を施しているのでしょう」
テストを終えて
以上のように、純正ホイールとRAYS TE37 XTシリーズではかなりの違いがあることがわかった。TE37生みの親である、執行役員 鍛造事業戦略推進室 室長の山口浩司さんは語る。「あくまで純正ホイールは純正ゆえに多くの方、あらゆるジャンルのお客様に向けて想定された、オールラウンドな対応ができるように開発、設計されています。今回持ち込まれた弊社のホイール、またトーヨータイヤ様のタイヤはパフォーマンスに特化しているため、このようなテスト結果になったのだと思います」
また、TE37 XTシリーズについて、山口さんは以下のように語った
「今回のTE37 XTシリーズも、『6本スポークだからTE37なんでしょ』と言われることがあります。クルマのポテンシャルを最大限引き出すために、タイヤを接地させたい。そのため強度を確保しながら剛性のバランスを追求していくと、結果的にあの形状になった、ということです。同じ6本スポークでも、軽自動車用やGT-R用ではもちろん厚み、形状は異なります。6本スポークというより、間に入っている6個の正三角形をイメージしていただきたいです。正三角形はどこに入力があっても全部均一に力が分散させることができるのです」
「今回のTE37 XT for Jはジムニー専用設計ですが、このクルマの性能を最大限引き出すにはどうしたらいいのか? を僕らは考えました。軽いものを作るのがアフターマーケット品のお約束ではありますが、強度と剛性を求めていていった結果、今回の仕上がりになったということです」
想像以上の違いに取材班も驚いた今回のテスト。普段なかなか厳密な比較ができないため、とても意義のある結果だったのではないだろうか。
A-LAPシリーズにも注目
今回テストはしなかったが、RAYS A-LAPシリーズも取材することができた。同社第一商品企画部の堀内大輝さんに話を伺った。
「A-LAPとは、アズライトアズポッシブルの略の鍛造ホイールです。ジムニー用はもちろん18インチのプラド用などもリリースしています。ジムニー用となるA-LAPJは徹底的に軽さを追求したモデルで、純正ホイールより軽量に仕上がっています」
【詳しくはこちら】
RAYS
https://www.rayswheels.co.jp/
取材協力:TOYO TIRE株式会社
/スズキアリーナ須磨 芦屋中央/一般財団法人 泉佐野みどり推進機構